「二度と猫は飼わない」と決めていた私の心を突き動かしたのは…… 夫に泣きながらお願いして迎え入れた保護猫たちとの出会い
第10回は保護猫の「ココ」くんと「ヤムヤム」ちゃんです。
近年、動物の虐待や飼育放棄、悪質な業者による販売、不適切な飼養が社会問題となっています。個人や団体、地域が行き場をなくした動物たちを守るため、日々保護活動に取り組む一方で、動物たちが命を失う悲劇は後を絶ちません。
私たちの身近な場所で繰り返されている、動物たちの殺処分や衰弱死などの厳しい現実。しかしまた一方で、動物との心あたたまる出会いや愛に満ちた生活が、保護活動によって生まれ、営まれていることも事実です。微力でも地道に保護という選択を伝え続けていくことが、動物たちの命を守ることにつながるかもしれません。
そこで、ねとらぼ生物部では保護動物と暮らす読者にアンケートを実施。寄せられた数々のエピソードと写真を紹介するとともに、尊ぶべき命の輝きや、愛する家族との暮らしの喜びを伝えていきます。
第10回は飼い主・マツさんと暮らす猫の「ココ」くんと「ヤムヤム」ちゃん。先住猫との別れから「二度と猫は飼わない」と決めていたマツさんのもとに現れた2匹との出会い、そして“命あるものと暮らすこと”へのマツさんの思いをご紹介します。
―― 2匹との出会いと、保護当時の状況を教えてください
マツさん:ココは2016年5月に母が保護。実家の隣の駐車場にいた子猫5匹のうちの1匹で、ビショビショの状態で鳴いていました。当時、実家には2匹の成猫がいたので、わが家でそのうちの1匹を預かることにしました。
わが家は前年、一緒に暮らしていた猫が15歳で虹の橋を渡っており、当時は「二度と猫は飼わない」と思っていました。また猫と暮らす大変さは分かっていたため、猫を迎え入れることは正直あまり乗り気ではありませんでした。
しかし、実家が猫屋敷になっても困るので、状況的にも仕方なく、「またこれから10年以上頑張らないといけないな」と覚悟を決め、わが家に迎え入れました。
ヤムヤムは2021年5月19日に、うちの子どもがわが家の裏の空き家で発見。当時ヤムヤムは4匹の子猫を育てる母猫で、保護猫活動をしている知人にお願いして親子5匹を捕獲してもらいました。
その後、子猫4匹は預かりボランティアさんが、ヤムヤムは一時的にわが家が引き受けました。わが家にはすでにココがいるため、避妊手術後、元の場所に返すつもりでいました。
ところが近所の方々から「絶対に放されては困る」と訴えがあり、預かりボランティアさんに相談したところ、「子猫ならもらい手があるが成猫は難しい」「どうしても預かりさんが見つからなければあまりおすすめできないようなところにいくらか出して預けるしかない」と言われてしまいました。
主人に反対されるのは目に見えていましたが、泣きながらお願いして、ヤムヤムもわが家に迎え入れることに決めました。私自身、ココをうちに迎えるときも渋々で、2匹飼うなんて考えられませんでしたが、ただひたすら責任感で動いていました。
―― 2匹の現在の様子を教えてください
マツさん:ココは離乳するまで実家で面倒を見てもらっていたので、わが家へ来たときには食事もトイレもきちんとできていました。
その後、割とすぐ慣れてくれて、人が大好きなのかいつもくっついてきました。仕事に出るときは玄関までついてきて、「行かないで」って言うように鳴いていました。
3歳のときには尿路結石でオシッコが出なくなり、いろいろあった結果、おなかの真ん中にオシッコの出口を作り、そこから排尿するようになりました。
膀胱の締まりだけでオシッコを止めているので、寝ているときやオシッコを我慢するとき、階段を上るときなど、腹圧がかかると漏れてしまいます。そのため、毎日オシッコが落ちてないか床を眺めて歩いています。排尿口周りはバイ菌が繁殖しやすく、すぐ膀胱炎になるので、毎日欠かさずおなかを洗っています。
ヤムヤムは近所の人の話から、推定2歳だろうとのことで、全く人慣れしていませんでした。ごはんをあげるときやトイレ掃除のたびに「フーッ」と威嚇され続けていました。また猫エイズのキャリアだったので、ココの予防接種が終わるまでの1〜2カ月間はケージ内で過ごしてもらいました。
ケージから出るようになっても、人が近づいたり大きな音がしたりすると、すぐにケージ内のベッドへ戻って小さくなっていました。触ることはしばらくできませんでした。
さらに保護当時、右眼が結膜炎なのか半分閉じていました。抱っこは嫌がってできないので、洗濯ネットに入れて獣医師さんのもとへ連れて行き、点眼と虫下しをもらいました。その結果、両目ともぱっちり開いて、とてもかわいくなりました。
今は寝ているときはなでさせてくれるようになりました。起きているときは近づくと逃げられてしまいます。抱っこはできません。
―― 最後に、保護動物に対する思いを聞かせてください
マツさん:猫でも犬でも金魚でも、命ある生き物を預かるというのは金銭的にも体力的にもとても大変なことだとみんなが分かってくれるといいなと思います。
知り合いで「猫を飼いたい」という人がいたら、うちは猫の手術などで何十万円もかかったこと、エサ代やトイレ砂代など、維持費も月に数千円以上かかることを包み隠さず伝えるようにしています。
最後は介護が必要になることもあるので、安易にではなく覚悟を持って、最後までみてあげてほしいです。
(了)
“生き物との暮らし”には、金銭的な余裕や適切な飼育環境、そして「最後まで面倒を見る」覚悟が必要です。その一つ一つを考慮し、責任を持って迎え入れたマツさんの思いが伝わるエピソードでした。
そんなマツさんと暮らすココくんとヤムヤムちゃんは、きっと幸せですね。2匹がこれからもマツさん家族のもとで自由気ままに過ごしていってくれることを願います!
ねとらぼ生物部では、引き続き「保護動物のエピソード&お写真」を募集しています! 犬猫、小動物、爬虫類など、動物のジャンルは問いません。アンケート内容とお写真は部内で審査の上、記事で紹介する可能性があります。
愛する家族との出会いのエピソードや、クスッと笑ってしまうかわいいお写真など、お気軽に【こちら】までお寄せください。皆さまからのご応募、お待ちしています。
オススメ記事
関連記事
- 庭にやってきた“妖怪みたいな妊婦の猫”に「家で産みなさい」と話しかけたら…… 大家族誕生までの物語が胸を打つ
第9回は保護猫大家族です。 - 子猫と見間違うほどガリガリな猫を保護→実はおなかに赤ちゃんがいて…… 死産を乗り越えた母猫の新しい暮らし
第8回は保護猫の「アオ」ちゃんです。 - ケージの隅で震えていた元野良の成猫、根気強く距離を縮めた結果…… “成猫は人気がない”を覆す甘えん坊な姿に感動
第7回は保護猫「たると」ちゃんです。 - あばら骨がくっきり見えるほど痩せ細った子猫を保護、今では…… “謎の大型雑種”へと成長した姿が驚愕必至
第6回は保護猫「シル子」ちゃんです。 - 道路の真ん中で身を寄せ合う子猫4匹を保護→顔にひどい炎症を起こしていたが…… 見違えるほどの回復ビフォーアフター
第5回は保護猫きょうだい「とら」「ひめ」「はち」です。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
-
「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
-
「ほ、本人……?」 日本に“寒い国”から飛行機到着→降りてきた“超人気者”に「そんなことあるw?」「衝撃の移動手段」の声
-
才賀紀左衛門、娘とのディズニーシー訪問に“見知らぬ女性の影” 同伴シーンに「家族を大切にしてくれない人とは仲良くできない」
-
【今日の難読漢字】「誰何」←何と読む?
-
「今やらないと春に大後悔します」 凶悪な雑草“チガヤ”の大繁殖を阻止する、知らないと困る対策法に注目が集まる
-
武豊騎手が2024年に「武豊駅に来た」→実は35年前「歴史に残る」“意外な繋がり”が…… 街を訪問し懐古
-
大谷翔平、“有名日本人シェフ”とのショット 上目遣いの愛犬デコピンも…… 「びっくりした!!」「嬉しすぎる」
-
ハローマックのガチャに挑戦! →“とんでもない偏り”に同情の声 「かわいそう」「人の心とかないんか」
-
「口座や住居が……」 坂口杏里、SNSで“重要個人情報を垂れ流し” 「かなりまずい状態」「大丈夫じゃなさそう」心配の声
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- 「中学生で妊娠」した“14歳の母”、「相手は逃げ腰」妊娠発覚からの経緯を赤裸々告白 母親の“意外な反応”も明かす
- 勇者一行が壊滅、1人残った僧侶の選択は……? 「ドラクエでのピンチ」描くイラストに共感「生還できると脳汁」
- 「笑い止まらん」 海外産アプリで表示された“まさかの日本語”に不意打ち受ける人続出 「何があったんだw」
- パパが好きすぎる元保護子猫、畑仕事中もくっついて離れない姿が「可愛すぎる」と反響 2年以上がたった現在は……飼い主に話を聞いた
- アグネス・チャン、米国の自宅が“度を超えた面積”すぎた……ゴルフ場内に立地&門から徒歩5分の豪邸にスタッフ困惑「入っていいのかな」
- 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
- 「車が憎い」 “科捜研”出演俳優、交通事故で死去 兄が悲痛のコメント「忘れないでください」
- PCで「Windowsキー+左右矢印キー」を押すと? アッと驚く隠れた便利機能に「スゲー便利」「知らなかった」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」