「飼育放棄の約7割が“飼い主の高齢化”」「保護犬・猫を悪用したビジネスも」 ペットブームに潜む犬猫たちの現実(1/3 ページ)
ペットを取り巻く現状を取材しました。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症/以下、コロナ)の影響でおうち時間が増え、「寂しいから」「癒やしを求めて」とペットを飼う人が増えています。一般社団法人ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査によると、2020年の犬猫新規飼育者は2019年より増加。過去5年間の中で、伸び率・飼育頭数ともに最も多い結果となっています。
しかしその一方で、多頭飼育崩壊や飼育放棄があとを絶ちません。家族の一員としてかわいがられるペットたちがいる裏で、飼育放棄されたたくさんの犬猫たちが愛情を求め、里親を探しています。今回ねとらぼ生物部では、広島・東京を拠点に犬猫の保護活動をしている、NPO法人みなしご救援隊 犬猫譲渡センターの理事長 佐々木博文さんに取材。なぜ飼育放棄や多頭飼育崩壊が起こってしまうのか、コロナ禍の影響は……ペットブームの裏に潜む、犬猫たちの現実を聞きました。
“飼育放棄”理由の7割が「飼い主の高齢化」
――みなしご救援隊 犬猫譲渡センターの活動内容について教えてください。
さまざまな理由で、一般家庭で飼育不可になった犬猫を保護して、里親さんを探す活動をしています。みなしご救援隊はレスキュー団体ではないので、基本的には一般家庭から「飼えなくなった」と連絡をいただいて面接をし、引き取り保護の寄付や予防接種などの実費をいただいて保護します。東京支部は、カフェを併設して気軽に保護犬・猫たちに会いにきていただけるようにしています。現在、広島・東京の3拠点で150匹前後の犬猫を保護しています。
――「飼えなくなった」理由はどういったものが多いのでしょうか。
広島と東京で若干の違いはありますが、圧倒的に多いのは「飼い主の高齢化」で、保護理由の約70%を占めています。「飼い主が亡くなった」「認知症や高齢で適正飼育ができない」「他の親族は飼育不可」というのが最も多いケースですね。
次に「飼い主や家族のアレルギー」が約12%、「経済的理由」が5%、「イメージと違う」が3%と続きます。東京は広島よりも「イメージと違う」という人が多く、ここ1年はコロナ禍でペットを飼い始めた人が、「思ったよりも世話が大変だった」と手放すケースも多いです。
――「飼い主の高齢化」が最も多い理由とのことですが、高齢者が手放すのはやはり高齢の犬猫なのでしょうか?
それがそうでもないんです。実は先日も高齢のご夫婦から、4カ月の子犬を保護したばかりです。その犬は気が強く、しっかりしつけなければならない犬種なのですが、ブリーダーさんからそういった説明は一切なかったそうです。特に気が強い子なので、きちんとしつけされないことが原因で強くかむようになってしまって……。飼い主さん夫婦が「癒やされると思って飼ったが、かまれてからはかわいいと思えない。家族不和も生まれ、飼い続けることができない」と引き取りを求めてきました。
“犬猫を飼うデメリット”を認識しないまま飼ってしまう
――「思ったよりも大変だった」「イメージと違った」というのは、とても無責任に聞こえますが……。
飼い主さんに批判がいきがちですが、原因は犬猫を販売する一部のペットショップやブリーダーが、飼う上でのデメリットを伝えていないことにもあると思います。ちゃんとデメリットも含めて説明するペットショップやブリーダーがいる一方で、「飼いやすいですよ」「癒やされますよ」と犬猫を飼うメリットだけ伝えて、しつけの大変さや犬猫の気質、なりやすい病気やケガなどデメリットを伝えないところもあるんです。
メリットしか伝えられていない飼い主さんが犬猫を家に連れて帰ると、しつけが難しかったり、トイレを覚えなかったり。それで「聞いた話とはちがう」「自分では手に負えない」となってしまうようです。猫はそこまでしつけが必要ではないことが多いので、そういった理由で引き取り保護を依頼してくるのは、ほとんどが子犬の飼い主さんですね。子犬はとにかく体力があって、無駄吠えをする、物を壊してしまうなど、怪獣なみのエネルギーの子もいますから。
――“簡単に犬猫が買えてしまう”ことが問題の根本にあるのでしょうか。
もちろん、デメリットを説明せずに簡単に売ってしまう一部のペットショップやブリーダーも問題ですが、飼い主さんの意識ももっと高まってほしいと思います。みなさん漠然と「命を大切にしなければならない」とおっしゃいますが、実際に行動に落とし込んで「何をしたら命を大切にすることにつながるのか」を知らない人が多いです。
犬猫を飼うにはまず飼える住環境、経済状態であるのかが大前提ですが、 その犬猫がなりやすい病気やケガなど、デメリットも調べているか。自分や未来の家族にアレルギーが出たらどうするのか。もしも、どうしても飼えなくなった場合、代わりに飼ってくれる人がいるのか。
それらをしっかりと飼う前に確認していれば、「飼えなくなった」という状態にはならないと思うんです。現在の状態だけでなく、10〜15年後も見据えて、犬猫を飼う決断をする。それが命を大切にすることにつながると思います。
「10〜15年後も、自分が元気に飼い続けられるのか?」考えて決断を
――「今欲しいから、寂しいから、癒やして欲しいから犬猫を飼う」という考えが甘いんですね。
そうですね。今自分が若くて飼える環境でも、10〜15年の間に「両親の介護が始まった」「同居することになった」などでライフスタイルが変わったり、「結婚したら相手がアレルギーを持っていた」「子どもが生まれたらアレルギーだった」ということがあるかもしれない。ではもし本当に飼えなくなったらどうするのか、考えてから犬猫を飼ってほしいです。「飼えなくなりました」となっても、その子たちは明日からも生き続けるんですから。
特に高齢者では、「寂しいから」といって猫を4〜5匹飼って、適正な飼育ができなくなってしまうケースが多いんです。1人暮らしで寂しいのは分かりますが、自分でお世話ができなくなった場合に犬猫たちがどうなってしまうのか、もっと考えてほしいですね。
厳しい言葉になりますが、犬猫は人間に癒やしを与えるおもちゃではありません、1つの命なんです。どうしても飼いたいという高齢者の方は、自分が元気でいるうちにちゃんとお世話ができ、最後までみとることができるシニアの犬猫を飼うことを考えてほしいですね。または、愛護団体の「預かりボランティア」やお世話のボランティアなどで犬猫と触れあうなど、「飼わない」選択肢を知ってほしいと思います。
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