【漫画】結婚後も、自分の苗字を変えたくない…… ある女性が事実婚を選ぶまでの記録に「色んな形があっていい」「選べるのが普通な世の中に」と反響(2/3 ページ)
いろいろな選択肢があるのが大切。
お互いに納得して事実婚へ
結婚への思いがはっきりしてから数カ月後、キクチさんはパートナーからプロポーズを受けました。そして後日、改めて事実婚をしたい旨を相談し、二人で話し合うことになったのです。
パートナーは、事実婚だと苗字がバラバラで、婚姻届もないのはさみしい。でも、キクチさんの苗字には変えたくない、という意見。お互いの気持ちを確認し合った二人は、果たして自分たちにとって事実婚がベストなのか、考える時間を設けることにします。
その後、事実婚について調べて考えたというパートナーから、「事実婚、いいんじゃないかな」という意外な返事がありました。
パートナーは、苗字が違うことも少数派、子どもを持つ予定がないこともいまの社会では少数派だとした上で、「そうやってどんどん少数派な夫婦になっていこうゼ!!」と、自分たちが少数派であることを前向きに捉えていこうとしてくれたのです。キクチさんは、そんなパートナーの気持ちに感激します。
しかし、自分たちが良くても家族がどう思うかは話が別。そこでお互いの親に事実婚を報告したところ、両家ともにすんなりと賛成してもらうことができました。
また、事実婚について調べるうちに、事実婚をする人は、婚姻届の代わりに世帯合併の届出をすることが多いと分かりました。世帯を合併して同一世帯になると、どちらかが世帯主になり、相手の続柄が「妻(未届)」または「夫(未届)」という表記に。一部では、法律婚と同じようなサービスも受けられるようになります。
その後、キクチさんとパートナーは世帯変更届を出すため役所へ行き、無事届出を提出。そのまま住民票を発行し、記載されている「妻(見届)」という表記を2人で確認して、無事に夫婦となった喜びを噛みしめたのでした。
この漫画には、「色んな形があっていいですよね」「生活や考え方に合わせて自由に選べるのが普通な世の中になればいいですよね」「もっと気軽に別姓で夫婦として幸せに生きていける世の中になって欲しいです」など、多くの共感の声が寄せられています。
作者に話を聞いてみた
ねとらぼGirlSide編集部では、作者のキクチさんに詳しい話を聞きました。
ーー作品にはたくさんのコメントが集まっています。読者からの反響で印象的なものがあれば教えてください。
キクチさん:「自分の苗字が好きではないから、婚姻をきっかけに変えられるのが嬉しかった」「好きな人の苗字になれて幸せ」というコメントが印象に残っています。私は違う選択をしましたが、その気持ち自体はとても共感するしすてきなものだなぁと思いました。
ーー事実婚を選んで一番よかったことはなんでしょうか。
キクチさん:苗字を変えないし、戸籍も生まれ育ったままになるので、これまで大事にしてきたルーツをそのまま保てることが個人的に大きなメリットだと感じています。
ーー一方で、事実婚のデメリットについて、キクチさんは何が一番問題だと考えていますか。
キクチさん:婚姻によるサービスや制度が適応されにくいこともデメリットですが、それよりも「事実婚ってことは離婚前提?」とか「法律婚しないってことは愛人ってこと?」という事実婚にマイナスなイメージを持っている方がいることです。イメージが変わるとうれしいですが、事実婚を悪用する人もいると聞きますし、なかなか難しい問題だとは思います。
ーー今後、法改正により夫婦別姓での結婚が可能になったら、制度を利用したいと思いますか?
キクチさん:事実婚だと越えられない壁に出会ったときにぜひ利用したいです。いまのところは事実婚で困っていないので「法律婚しておけば良かった……!」と後悔するまでは一旦このままで大丈夫かなぁと思っています。
結婚の形は人それぞれ。夫婦別姓や子どもがいないことなど、少数派といわれる人が困難や生きづらさを抱えることがないよう、私たち一人ひとりが理解を深めるとともに、国民が納得できる制度の確立が望まれます。
キクチさんはこの他にも、Instagramアカウント(@kkc_ayn)やTwitterアカウント(@kkc_ayn)で多数の漫画を公開中です。
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