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子猫を拾った高校生娘、「家を傷つけるから」大反対の母を“来客作戦”で丸めこみ…… アクシデントてんこ盛りな思い出にほっこり

「ペットロスとの寄り添い方」第10回は猫・蔵之介くんです。

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 多くの飼い主が一緒に暮らす動物を“大切な家族の一員”として捉え、人生をともに歩んでいます。動物と暮らした時間は長くとも短くとも、深い愛情を持って接した分、飼い主にとって人生のかけがえのない一部となり、別れは深い悲しみとなって心身に押し寄せます。

 愛する動物との死別による喪失感や混乱、後悔など、抱えきれないほどの悲しみによって心身が不安定になる状態を指す「ペットロス」「ペットロス症候群」。2023年、20歳~69歳のペットを飼っているまたは飼育経験がある391人を対象に実施された「ペットロス」に関する調査では、「約8割が『ペットロス』という言葉を見聞きしており、約4割が実際に経験している」と発表されています(サンセルモsorae調べ)。

 飼い主にとって非常につらい経験となり、カウンセリングを要するケースもあることから、「ペットロス」「ペットロス症候群」は今、メンタルヘルス上の大きな課題として多くの人が向き合っています。動物とのこれまでの日々を忘れたり、死を乗り越えたりすることはできないかもしれませんが、時間の経過とともに受け入れ、いつかふと思い出したときにあたたかい涙がこぼれるような“寄り添い方”はあるはずです。

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第10回は飼い主・主スさん/猫「蔵之介」くん

 そこでねとらぼ生物部では「ペットロスとの寄り添い方」をテーマに、読者にアンケートを実施。寄せられたさまざまなエピソードから、愛する動物との思い出や別れ、当時の心境や救われた出来事をご紹介していきます。現在動物と暮らしている人や、悲しみの渦中にいる人に寄り添うヒントとなれば幸いです。

第10回 飼い主・主ス(553cat)さん/猫「蔵之介」くん

―― 蔵之介くんのプロフィールと出会い、思い出や印象的なエピソードを教えてください

主ス:高校生のときに近所で拾いました。家族が何度か見かけていて、「拾いたいな」と思った私は猫缶を買い、次に見かけたらゲットしようと備えていました。ある日、部活に行ったはずの妹が「あの子猫がいるから捕まえて!」と大急ぎで帰ってきました。私は猫缶を持って現場へ急行し、無事子猫をゲットしました。

子猫のころの蔵之介くん

 母は「畳や障子を傷つけるから」という理由で猫の飼育に大反対でした。しかし私はどうしても蔵之介を家族として迎えたかったため、来客対応中の母に「この子すごく弱ってるから病院に連れて行きたい」と言って蔵之介を見せました。

 来客の前で「捨ててこい」とは言えないだろうと考えたからです(笑)。この作戦は大成功し、蔵之介を無事迎えることができました。

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 蔵之介の印象的なエピソードは「ノミ事件」です。お迎え当初の夜、ケージに入れるとニャーニャーと鳴いて全然寝てくれず、抱き上げて膝に乗せると鳴きやんだので、私は毎日蔵之介を膝に乗せ、椅子に座ったまま寝ていました。

 すると、蔵之介の体にノミがたくさん付いていたらしく、私の膝からおなかにかけて大量にノミに刺されてしまい、ひどい目にあいました(笑)。ちなみにその後、動物病院で駆虫薬をもらって解決しました。

ノミ事件、かゆそう……!

 蔵之介の嫉妬がすごかったことも印象に残っています。蔵之介を迎えたあとに猫を拾ったのですが、別の部屋から拾った猫の鳴き声が聞こえただけで蔵之介が嘔吐!

 その後、蔵之介は怒って机の下から出てこず、ごはんも食べなくなりました(笑)。本当はその子もお迎えしたかったのですが、蔵之介がとても受け入れられそうになかったので友人に譲りました。

甘えん坊な蔵之介くん
飼い主さんを独占したかったのかな?

―― 蔵之介くんと別れてからの心境や、救われた出来事などがあれば教えてください

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主ス:13歳で虹の橋を渡りました。最近の猫は20年くらい生きる子が多いので、まさかこんなに早くお別れがくるとは思っていませんでした。

 当時、私は実家を離れて東京で働いていたので、「蔵之介が危ない」という一報を聞いた翌日には会社に休職願いを出し、仕事を休んで看病のため帰省しました。

 最後の2週間は蔵之介とほぼずっと一緒に過ごしましたが、それでも死は受け入れがたく、葬儀の際も大泣きでした。

酸素室に入っている蔵之介くん

 仕事に復帰したあとも毎日悲しく、残業帰りに家まで泣きながら帰っていました。特に友人から「猫元気?」などと聞かれた際に「実は……」と虹の橋を渡ったことを伝えるのがとても辛かったです。お別れしてから2年半たちますが、蔵之介を失った悲しみや痛みは消えないです。

「蔵之介を失った悲しみや痛みは消えないです」

 「死をもって生を知る」という僧侶だった叔父の言葉には救われました。身近な存在の死は、私たちが普段意識していない「生きている」ということを教えてくれるという意味です。

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 自分は生きているんだと再確認させてくれたことに感謝し、この悲しみも生きているからこそ感じられるものなのだと、悲しいと思う自分ごと受け入れることで少しだけ楽になりました。

「死をもって生を知る」

―― 現在の心境を教えてください

主ス:今も思い出すと悲しいですし、会いたいなと思います。でも、「将来自分が生を全うしたあとにまた会えるからな」と思うことにしています。

―― 蔵之介くんに伝えたいメッセージ

主ス:くらのおかげで猫のかわいさを知り、今も3にゃんと楽しく暮らしているよ。ありがとう!

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主スさん宅の「ココス」くん、「蓮子」ちゃん、「ネロ」くん

(了)

 「ペットロス」「ペットロス症候群」になった場合、その苦しみを閉じ込めたり自身を責めたりせず、家族や仲間と共有する生活に支障を来す場合は専門家のカウンセリングを受けるなど、焦らずに“死”を受け入れていくことが大切だといわれています。

 また現在動物と暮らしている人は、「いつかは別れがくる」と理解し後悔のないよう接すること、同じ動物と暮らしている友人や仲間を見つけ、喜びや悲しみを分かち合うことが、いつかくるそのときと向き合う心身の準備へとつながるかもしれません。動物と暮らす喜びをかみしめながら、心のよりどころとなる思い出や関係を作っていきたいですね。

 ねとらぼ生物部では、引き続き「ペットロスとの寄り添い方」をテーマにアンケートを実施しています。犬猫、小動物、爬虫類など、動物のジャンルは問いません。愛する動物との思い出や別れ、当時の心境や救われた出来事など、【こちら】までお寄せください。アンケート内容とお写真は部内で審査の上、記事で紹介する可能性があります。

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