駅舎に泊まれて仮眠約4時間、近鉄の子ども向け職業体験ツアーが「ガチ」だと話題 近鉄に企画のきっかけ聞いた(1/2 ページ)
企画の経緯を近鉄に聞きました。
近畿日本鉄道が夏休みの小学生向けに企画した職業体験ツアー、「きんてつ 駅のお仕事体験2日間in 大和上市駅」がガチすぎると話題です。一日駅長になって駅の業務を体験し駅舎で仮眠(宿泊)と、鉄道好き垂涎(すいぜん)の内容ではあるのですが、その仮眠時間が4時間程度と、そのハードさを指摘する声も寄せられています。
このツアーは1泊2日で、7月29日~30日と8月19日~20日の2回開催。募集人員は1日1組(保護者含め4人まで、乳幼児不可)限定で、参加者のうち小学4年生~6年生のみが駅の業務を体験できます。料金は大人1万円、体験に参加する子どもが3万円、そうでない子どもは5000円。
体験する子は一日駅長に任命。近鉄吉野線の下市口駅、大和上市駅、吉野駅で、駅係員の指導のもと、改札業務やホームでの列車監視、営業機器の終業・始業作業、管内巡視、給水体験などを体験できます。
ほかにも留置された車両の運転台見学や、駅舎での仮眠体験など、特別な体験が用意されているのですが、気になるのがそのスケジュール。ツアーは15時30分に始まり、さまざまな業務を経て24時に就寝したら、4時30分には起床して12時ごろに終了と、なかなかにタイトです。また、食事や入浴場所の提供もありません。
濃い体験ができそうな一方で、スケジュールのタイトさが注目されたツアー。Twitterでは「大人も体験してみたい」といった声もありますが、子どもにはハードではないかと心配する声も見られます。
近鉄を取材したところ、ツアー発案のきっかけは、歌人の大辻隆弘さんが2022年に日経新聞へ寄稿したコラム「漕代(こいしろ)駅」とのこと。近鉄山田線の漕代駅がまだ有人駅だったころ、仕事帰りの祖父を待つ最中に駅員の道具や仕事ぶりに憧れたという思い出話で、幼き大辻さんは駅舎の1畳半ほどの仮眠室を見て、駅員になってその秘密基地のような部屋で眠る自分を夢想したといいます。
このコラムを読んだ担当者が「子どもに駅の仕事を体験してもらって鉄道業務に愛着を持ってもらいたい」と企画を立案。SNSでの反響について、広報担当者は「興味を持っていただいていることをありがたく感じています」と語りました。
ちなみに早朝に起きられなくても「あくまでも業務体験内容を準備させていただいているレベルで、無理に起こしたりすることはございません」とのこと。
なお、実際の駅員の勤務スケジュールについて聞いたところ、基本的に9時スタートの24時間勤務で、間に6時間の仮眠時間があるとの回答でした。
現在ツアーは売り切れで、キャンセル待ちになっているとのことです。
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