東映「相棒」「仮面ライダー」元社員がセクハラ問題で労災申請 60代スタッフが「会いたいです」など執拗な連絡(2/3 ページ)
東映グループでのセクハラ問題には前例がある。
東映でのセクハラ問題には前例あり
東映グループでのセクハラ問題には前例がある。2019年6月、東京ドームシティの劇場「シアターGロッソ」で、「お姉さん(MC)」役を務めていた女性が男性器のあだ名で呼ばれたり、すれ違いざまに胸やお尻を触られたりしていると、SNS上でその被害を訴えた。その後、東映側が女性や関係者などに聞き取り調査をした結果、「SNS上での訴えの内容は概ね事実である」と認めるにいたった。
その際、東映は該当する東映グループの東映エージエンシーの社員1人を社内規定に基づき処分し、今後のヒーローショーの制作に関与させないと説明。加えて、委託先の会社に所属するスタッフなど5人については、委託先の会社で内容に応じた出演停止も含む処分をくだしたと発表した。
元APの女性は当時の東映側による対応を振り返り、自身の被害についてもセクハラの事実があったことと、その詳細を同社の公式サイトで公表し、あらためて謝罪の意を示すことなどが必要ではないかとの考えを示した。
過労死ラインを超える労働
さらに、女性をめぐっては長時間労働や残業代の未払いの問題もある。東映はすでに「36協定」にある月45時間を超過して残業させた(労働基準法32条違反)、「平日55時間、休日15時間」を超過した分の賃金を支払っていない(労働基準法37条違反)などとして、中央労働基準監督署から是正勧告を受けている。
女性は長時間労働、連続勤務、深夜・早朝勤務を続けており、特に2020年2月の時間計算書には、早朝5時ごろから働くことも多数あったと示されている。月80時間の過労死認定基準をゆうに超える残業もあったという。
しかし、その後、東映に労災申請への協力を求めたところ、「当社の認識と相違する記載がある」などの理由で、事業主証明への協力は拒否されたとのこと。加えて、東映は長時間労働や、固定時間外手当てを適用した従業員の時間管理をしていなかったことなどは認めているものの、固定残業手当の無効性についてはいまだに認めていない、と女性側は問題点を指摘している。今後は賠償を求める意向だ。
東映のみならず、映像業界全体が抱える問題
女性によると、同じ部署の先輩は8割退職し、年の近い女性社員はほとんど全員退職したという。女性はこれは東映だけではなく、映像業界全体が抱える問題だと主張している。
「『映像制作現場は職人の世界だ』と何度も言われてきました。早朝から真夜中まで終わらない中、ずっと立ちっぱなしで、タバコの煙が充満していて、いつ怒鳴られるか分からないまま、いつ男性スタッフから肩や腰を触られるか分からないというストレスがある環境です」(元APの女性)
「フリーランスが多い映像業界では、申し立て≒『面倒くさいやつだと業界で話が広まる』≒『次回作品が回ってこない』という生活に直面する問題になるので、多くの方は泣き寝入りしてしまいます。実際、私がこの告発をした後、ダイレクトメッセージで東映のスタッフから『同じようにハラスメントにあっていたこと』『自分は声を挙げられなかったこと』『応援していること』を伝えられることがいくつもありました」(元APの女性)
女性は「私が人生をかけて意義を申し立てても、結果何も変わらないまま今日も映像業界は続いている」「東映は業界の最大手としての自覚を持って、映像業界の環境改善に向き合ってもらいたいです」として、あらためて「この最大の目的は、東映によってストップしてしまった人生を取り戻すことです。東映は真摯(しんし)に向き合ってほしいです」と呼びかけた。
女性側は6月18日から、東映が社内の過重労働・セクハラ風土の是正を宣言するように求める署名活動をインターネット上で開始している。ねとらぼ編集部では、本件について、東映に今後の対応などについて問い合わせ中である。
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