エアコンの室外機に「ぬれタオル」で電気代節約? メーカーは「本末転倒」リスク指摘……オススメ節電方法は(1/2 ページ)
節電効果があるというツイートが拡散されていました。
日本各地で猛暑日となり、クーラーが必須な毎日が続いています。そうした中、エアコンの室外機にぬれたタオルを載せると、電気代の節約になるというツイートが拡散されました。ねとらぼ編集部はエアコンメーカーのダイキン工業に見解と、おすすめの節電方法を聞きました。
7月上旬、Twitter上では室外機の天板にぬれたタオルを覆いかぶせるように載せた写真が拡散されました。高騰する電気代の節約につながるとしており、「自分ん家も毎年やってる」「室外機が元気になるので夏の定番です」などと、実践者も多数現れました。
一方で、「効くんですかねこれ」「ホントに効果があるのだろうか」と疑問に思う声や、水分を含んだタオルを置くことで故障につながる恐れがあるのではないかと懸念する声もありました。また、機種が古いものには効果がある一方で、最新機種では効果がないのでは、という投稿もありました。
投稿の真偽はどうなのでしょうか。ねとらぼ編集部は7月7日、エアコン大手・ダイキンの広報担当者に見解を聞いてみました。
――エアコンの室外機にぬれたタオルを載せると、節電になるのでしょうか。
「天板にぬれタオルを載せることで『室外機周辺の温度』や、室外機の側面や背面にある『熱交換器の温度』が下がるのであれば効き目が良くなる可能性はありますが、この方法で室外機が吸い込む空気や熱交換器の温度がどこまで下がるか分からないため、実際に効果があるかは分かりません」
――機種の古い、新しいによって効果が違うという投稿もありましたが、実際はどうなのでしょうか。
「室外機の基本的構造は変わりませんので、古いものであれば効果があるとは言えません」
――拡散されている方法について、メーカーとして留意してほしいことなどはありますか。
「タオルが室外機の正面側の『吹出口』や背面側や側面側の『吸込口』に垂れ下がってしまった場合、空気の流れを阻害して、運転効率が大きく下がってしまいます。そうなると、本末転倒となってしまします。また、室外機がベランダなどに設置されている場合、バケツなどの落下による危険性が考えられます」
暑い夏、どうすればクーラー代を節電できる?
「室外機にぬれタオル」は実際に効果があるか分からず、場合によっては運転効率を下げるリスクもあるとのことでした。ダイキンの広報担当者は「電気代が高騰している中、様々な工夫をされておられる皆さまに対してこうした工夫について良い悪いと断じるのは大変心苦しく思っております」と心の内を伝えました。それでは、メーカーがオススメする節電方法とはどういったものなのでしょうか。担当者は「4つのポイント」を教えてくれました。
室内機のフィルター掃除と、室外機周辺の整理整頓をする
エアコンは、室内機で取り込んだ空気から熱を集めて、熱が減って冷たくなった空気を室内に戻すことで部屋を涼しくしています。室内の空気から集めた熱は室外機まで運ばれ、室外機から屋外へ追い出されます。室外機も室内機も、周囲の空気を吸い込んで、その空気から熱を集めたり、その空気に熱を逃がしたりしています。そのため、どちらもスムーズに空気を吸い込んだり吹き出したりできる状態を保つことが節電の重要なポイントです。例えば、フィルターを1年間掃除しなかった場合、消費電力量が約25%ムダになってしまうと言われています。また、弊社が一般のお宅で計測したところ、フィルターに約3年分のホコリが溜まっている場合、消費電力量が約1.5倍になる結果となりました。さらに、約3年分のフィルターのホコリに加えて、室外機周辺の空気の流れも妨げられていた場合、消費電力量が約2倍という結果となりました」
エアコンのスイッチを頻繁に入り切りしない
「照明器具などは、部屋に人がいない場合には切っている方が多いかと思います。エアコンの場合、30分程度の外出であれば『つけっぱなし』にしておいていただいた方が節電につながりやすい機器です。エアコンは、スイッチを入れた後に、室内を涼しくする際に多くの電力を消費します。室内が涼しくなってしまえば、それを維持するための運転をするため、スイッチを入れた後ほどの電力は消費しません。エアコンのスイッチを頻繁にオンオフしてしまうと、室温が高まるタイミングが増え、その都度、スイッチを入れるたびに室内を涼しくするため、比較的多くの電力を消費します。30分程度であれば、『つけっぱなし』をおすすめします」
室内の「温度ムラ」を抑える
「暖かい空気は上昇する性質があり、夏場の室内では、天井付近と床付近の空気の温度に差が出る『温度ムラ』が起こりやすくなっています。冷房運転時に温度ムラができていると、エアコンが『室内はまだ設定温度に達していない』と判断し、人がいる床付近は十分涼しくなっていても、必要以上に運転してしまうことがあります。快適性の低下だけでなく、エアコンへの負荷が上がり、消費電力の増加につながります。エアコンの風向を水平にしたり、扇風機やサーキュレーターなどを使って室内の空気を撹拌したりするなど、温度ムラを抑える工夫をおすすめします。なお、風向を斜め下にしておくと、温度ムラが発生しやすくなるだけでなく、気流が直接体に当たり続けることで不快に感じることもあります」
室内にできるだけ熱を増やさない
「エアコンは、室内の空気中の熱を屋外に逃がして、室内の熱を減らすことで部屋を涼しくしています。室内に熱が増えると、それだけ多くの熱を外に追い出さなければならず、エアコンにかかる負荷が増加します。窓の外にすだれを垂らして窓の内側に入ってくる熱を減らしたり、使わない家電製品などの発熱体の電源を切ったりするなど、室内の熱を増やさない工夫もポイントのひとつです」
まだまだ続きそうな猛暑。電気代を節約して、暑い夏をかしこく乗り切りたいですね。
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