「何度読んでも泣く」「誰かがそばにいてくれる温かさ」 作者の苦しい過去から生まれたマンガ『あした死のうと思ってたのに』に反響(1/2 ページ)
感動の声が寄せられる本作、作者に話を伺いました。
マンガ『あした死のうと思ってたのに』が、X(旧Twitter)上で話題になり、約12万いいねを集めています。本作について、作者は吉本ユータヌキさん(@horahareta13)にインタビュー。合わせてマンガ本編を掲載します。
『あした死のうと思ってたのに』は、12月2日に刊行される同名の書籍に収録される作品。物語は、おかっぱ頭の男の子が「あした死のうと思って」と話す1コマから始まります。
しかし、友人は「そっかそっか」「じゃあ最後の飯行こうぜ」と軽く流し、2人でラーメン屋へ。その後も一緒に遊ぶ予定を入れてくれます。実はこの友人もまた、姉を亡くしたことから心の状態を悪くしており、おかっぱ頭の男の子と一緒にいることが生きる支えになっていたのでした。
一緒にCDショップに行き、店長のオススメを聞いて視聴し、2人で「買う」「あの店も店長も最高だろ」「うん、また行きたい」と意気投合。友人はその後、姉の形見であるCDプレーヤーを貸してくれますが、おかっぱ頭の男の子は家庭内暴力を受けており、父親にそのプレーヤーを破壊されてしまいます。どうしてもそのことを伝えることができず、それから2人の関係はギクシャクしたものに。
ある日、友人がCDショップに行くと、店長が気を利かせて「あの子誘ってあげな きっと喜ぶよ」と2人分のライブチケットを手渡しましたが……。
「泣いてしまった」「こんな感じで見えなく深くあったかい感じの関係性を保てる間柄の人がいたら良いなあ」「1人が2人になるとこんなにも世界が変わるんだ」と感動の声が寄せられている本作について、作者・吉本ユータヌキさんに話を伺いました。
――― マンガ『あした死のうと思ってたのに』のテーマは?
この話はぼく自身の経験から、今思うことを詰め込んだ作品です。
中学校時代に同級生からいじめられたのがキッカケで、学校での人付き合いが苦手になって、高校に入ってからも友達ができなかったり、家では両親が不仲だったりで、学校でも家でも「そこにいる」ことの苦しさを強く感じるようになり、そんな毎日から逃れたくて当時住んでいた住宅の11階のベランダの柵に足をかけたことがあります(でも飛び降りるのがこわくてやめました)。
そんな日々が続くなかで、バイト先の先輩が教えてくれた音楽にハマり、それ以降は毎週末にタワレコでCDを買いあさるという楽しみを生きがいに、今まで命をつなぐことができました。
それから20年たった今、もう「死にたい」と思うことはなくなりましたが、ふと当時のことを思い返すたびに苦しくなっていたので「そんな過去もマンガにした」という事実を作りたくて描きました。
今これを描いて「死にたくなるときもあるけど、頑張って生きようぜ」みたいなことは言えませんが、それでも生きていると新しい楽しみに出会うかもしれない、今の苦しい時間もいつか違う形に変えられるかもしれないという小さい可能性を感じてもらえたらいいなと思っています。
――― この作品の制作で苦労したポイントは?
毎ページ描くたびに当時を思い出していたので、1ページごとにヘロヘロになってました。自分を素直に出していくことの大変さをすごく感じていました。
でも、それを乗り越えたからこそ、自分でも「これが描けてよかった」と心から感じているので、頑張ってよかったと思っています。
――― うれしかった読者からの反応・感想は?
どんな感想も全部うれしいんですけど、今回これが書籍になるとお知らせしたときに「本が発売するまで生きようと思います」と伝えてもらったときは、すごくうれしかったです。
マンガの中で描いていたことが、自分の作品でも実現できたんだなって思いました。これからはこの本だけじゃなくて、自分が作品を作っていくことを楽しみにしてもらえるように、もっと頑張りたいとも思わせてもらえました。
――― 本作を含む5作品を収録した同名の書籍『あした死のうと思ってたのに』に込めた思いは?
作品をどれか1つでも好きになってもらえたらいいなという気持ちもありますが、どれもハマらなくてもいいから、ぼくみたいなネガティブで暗い人間でも生きてるんだなってことを感じて、励みにしてもらえたらと思ってます。
とはいえ、どの作品も生きてきたなかで本当に感じたことを、誰かの気持ちをどうにか動かしたいと思って作ったものばかりなので、1回だけでもいいので本を開いてみてもらえたらうれしいです。
――― 本作を含む5作品を収録した同名の書籍『あした死のうと思ってたのに』に込めた思いは?
ぼくは自分の悩みや苦しいことを人に話せずに生きてきました。それは恥ずかしさや、「弱いやつ」と思われたくないという気持ちから、自ら話さなかったのですが。
そんな過去の自分に向けて作った作品です。
うまく言葉にできない人や、そもそもどうしていいか分かんない人もたくさんいると思うんです。うまく頼れなくて、孤独を感じてしまう人はよかったら一度読んでみてほしいです。
制作協力:吉本ユータヌキさん(@horahareta13)さん
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。