「幸楽苑」が6年ぶりに正月営業する理由とは? 「“働く人の気持ち”は大事だが、雇用を守ることも大事」(1/2 ページ)
2018年度の年末年始、売上を失ってでも「働く人の気持ち」を守ることが大切と新聞広告を打って以来、正月はお休みしていた。
らーめんチェーン店の「幸楽苑」は、2023年度の年末年始を休まず営業すると発表している。正月に営業するのは、2017年度以来のこととなる。
売上を失ってでも「働く人の気持ち」を守ることが大切としていた
2018年度の年末年始、2億円の売り上げを失ってでも「働く人の気持ち」を守ることが大切であり、サービス業で働くことは“みんなが休む日に働くこと”ではないとして、「日本のお正月を変える、小さな事件となりますように」とメッセージを寄せた新聞広告を幸楽苑は打っている。この年、64年の歴史で初めて正月を休業し、以後2023年の正月までは恒例としていた。
この方針転換に幸楽苑の広報は、「今年6月の株主総会で、幸楽苑ホールディングス 代表取締役会長兼社長に、創業者である新井田傳会長が就任」したことを理由に挙げている。
新井田傳氏は6月に退任した新井田昇社長の父親。傳氏は2018年に会長となり、2021年には一線から身を引いていたが現場に復帰することになったのだ。幸楽苑は23年3月期連結決算で、最終利益が28億円の赤字となり、24年3月期第2四半期累計の連結最終損益の赤字幅を縮小させたものの、通期の同損益を1億5000万円の赤字に下方修正している。
「前期まで3期連続の営業赤字決算で、今期は営業黒字化に向け、全社挙げて取り組んでいるところでございます」と広報。
働く気持ちが大事と言っていた方針に変更があったのか聞くと、「おっしゃる通り、『働く人の気持ち』は大事でございますが、安定的な経営を継続することで、働く皆様の雇用を守ることも大事と考えております。アフターコロナで人流が戻って来ている事もあるため、今年から働く皆様の労務管理を行いながら、年末年始の営業させていただくことといたしました」と回答を寄せた。
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