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「プリキュア20周年」とは何だったのか? 「子ども向けアニメ」から「キャラクターIP」への拡大が顕著となった2023年を振り返るサラリーマン、プリキュアを語る(1/2 ページ)

「プリキュア20周年」とは何だったのでしょうか。

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2023年は「プリキュア20周年」イヤーでした

プリキュアのお年玉ポチ袋が売っていない。

 僕の持論に「年末に“お年玉のポチ袋売り場”に行くと、その年の子どもの人気キャラが分かる」というのがあります。

 2023年のポチ袋売り場はとにかく「SPY×FAMILY」が目立ちました。「ちいかわ」「パウ・パトロール」も躍進。定番の「すみっコぐらし」「ディズニー」「マリオ」「ポケモン」「サンリオ」「ドラえもん」も棚をにぎやかしています。

 そんな中、今年は「プリキュアのお年玉ポチ袋」が見つからないのです。

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 ネットで調べる限り発売はされているようなのですが、自分の周りではどこにも売っていないのです。かつてはどこにでもあった「プリキュアのお年玉袋」。ここ数年は見つけるのに本当に苦労するようになりました。

 そういった意味では、プリキュアは「女の子向け一強」の時代から、「女の子の選択肢の一つ」になっていることは否めません。

 一方で、プリキュア20周年記念映画「映画プリキュアオールスターズF」は、観客動員、興行収入ともにシリーズNo.1の大ヒット。「プリキュア20周年」で行われた多くのイベントにはたくさんのファンが駆け付け、どのイベントも大盛況となりました。

 そういった意味では2023年は「プリキュアの勢いが加速」していた側面もあります。


シリーズNo.1のヒットとなった「映画プリキュアオールスターズF」(C)2023 映画プリキュアオールスターズF製作委員会

 プリキュアは今、「勢いが停滞している」と「勢いが加速している」が同時に存在している不思議な状態なのです。

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 今、プリキュアに何が起きているのか? ファンのお財布を直撃した「プリキュア20周年」を振り返っていきたいと思います。

kasumi プロフィール

プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。

バンダイ国内トイホビーは苦戦中

 まずは2023年上半期(4~9月)の数字を見てみます。

 プリキュアの数字として出てくるのは、バンダイナムコHDの「関連商品の売り上げ(トイホビー売り上げ)」と、東映アニメーションから出ている「国内版権売り上げ」の2つの数字があります(※トイホビー売り上げはおもちゃだけでなく、食玩、文具、生活用品なども含みます)。

 まず、バンダイナムコHDのトイホビー売り上げを見てみると、2023年の上半期(4~9月)は過去最低の28億円となりました。15周年時(2018年)の51億円と比較して54%まで減少。数字だけを見れば、売り上げ不振で「シリーズ終了の危機」となった2006年の33億円よりも低い売り上げ数字となっています。

 確かに、大型スーパーのおもちゃ売り場を見渡してみても、かつては棚の一等地にあったプリキュア玩具は、今は「リカちゃん」や「すみっコぐらし」に棚を明け渡すこととなっていることも多く、一時期の勢いは見られないように感じます。

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 トイホビーの売り上げ、すなわちおもちゃを中心とした「子ども向け」のプリキュア展開は、数字を見る限りは苦戦が続いているようなのです。

東映アニメ国内版権は回復傾向

 一方で、2023年の東映アニメーションのプリキュア「国内版権」は回復の兆しが見られます。

 2020年にコロナ禍で落ち込みをみせたものの徐々に回復。2023年の上半期は2億5500万円で前年比111.8%と好調に推移しています。

 プリキュアキャラクターのライセンシーなどの「国内版権事業」は好調なようです。

 「トイホビー売り上げ」は落ち込み、「国内版権売り上げ」は回復。プリキュア20周年に何が起きていたのでしょうか?

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「プリキュア20周年」で市場が盛り上がりを見せた

 2023年は「プリキュア20周年」。本当にたくさんの施策が行われ市場が大いに盛り上がりました。

 20作目「ひろがるスカイ!プリキュア」では初の「レギュラー男子プリキュア」や「成人女子プリキュア」の登場も話題となりました。

 9月に公開された、78人(+α)のプリキュアが集合した「映画プリキュアオールスターズF」は観客動員が108万人を突破、興行収入も15億円に届く勢いとなり、シリーズNo.1の大ヒット映画に。劇場で販売されたグッズは即完売が続き、後日通販が実施されるほどの人気となりました。


歴代映画最高の動員数、興行収入となった「映画プリキュアオールスターズF」(グラフは著者作成)

 また、東京、大阪、名古屋の全国3か所で開催された「全プリキュア展」は予約なしでは入ることが困難、会場で発売されたグッズも連日売り切れ報告が飛び交うほどの大盛況。

 2月にはJR新宿駅での特大デジタルサイネージ広告も話題となり、全国9都道府県、100カ所でのバス停の広告展開、9月にはプリキュアの聖地「横浜みなとみらい」での大規模なプリキュアパレードの実施など、どのイベントも連日ファンが駆け付け大盛況となりました。

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全プリキュア展も予約なしでの入場は困難なほどの人気となりました

 さらに20周年の施策として「Yes!プリキュア5GoGo!」のプリキュアたちが大人になった姿を描いたアニメ「キボウノチカラ~オトナプリキュア'23~」の放送、男子だけの舞台作品『Danching☆Starプリキュア』TheStageの開催、初のVR空間でのイベント「プリキュアバーチャルワールド」の実施など、本当にたくさんの供給がされました。


「キボウノチカラ オトナプリキュア’23」。最終回ではようやくのぞみとココが……?

 またプリキュア専門ショップ、プリティストアなどでは、毎月のように新しいグッズが展開され、特にこの20周年は過去シリーズのグッズが大量に供給され(78人のプリキュア全員のグッズが発売されたりもしました)、ファンはうれしい悲鳴を上げながらお財布のひもをゆるめ続けたのです。

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