「学校で見た」「おばあちゃん家にあった」 実は90年の歴史、玄関先でよく見る“例のマット”の今を聞く(1/3 ページ)
昔ながらの超ロングセラー屋外マット。
「学校やおばあちゃんの家にあった、この懐かしいマットの名前は『タンポポマット』」――清掃道具の老舗メーカー「テラモト」がX(Twitter)でアピールした投稿が2万件を超えるいいねを集めて話題になった。みんながどこかで見たことがあるけど、商品名もメーカー名も分からないという現状を打破したいという狙いでの投稿。ねとらぼ編集部はその現状を聞いた。
確かに見たことはあっても「あの泥とか落とすマット」や「たわしマット」などと呼ばれることが多い「タンポポマット」は、テラモトが実施したアンケートでも「タンポポマット」と知っていたのはおよそ9%ほどで、「泥落としマット」が46%、「たわしマット」が34%という結果だった。恥ずかしながら筆者も知らなかった。
「タンポポマット」の歴史
「タンポポマット」の歴史は古い。戦前、テラモト創業者である寺本信一郎氏が奉公先で見かけた輸入品のマットから着想を得て販売権を取得、「ワイヤーマット」(昭和2年・1928年)を発売したのが始まりだった。泥汚れをもっとよく落とす方法を試行錯誤した結果、創業者の生まれ故郷・和歌山県の名産品である棕櫚(シュロ)の繊維を加工して棒状にしたブラシをスチール製の枠と網目に編み込んだ「新案マット」(昭和7年・1932年)を発売した。その後、戦時下の資源不足から鉄線を使用したマットの製造ができなくなったが、戦後まもなく踏まれ続けるブラシの耐久性を向上&除塵能力維持の観点から改良を行った結果、「タンポポマット」(昭和26年・1951年)が誕生した。
「タンポポマット」は靴底の土砂や雪を金属ワイヤーとブラシで綺麗に落とせるとして人気商品に。当時は舗装されていない道路も多く、建物に入る前に靴底の土砂を落とせると重宝した。また、土足のままであがる洋風建築が増えていったという時代背景もあり、全国に普及していく。しかし、時代が進むにつれて求められるニーズも変化し、タンポポマットを利用する機会は減ってしまったという。それでも愛用者は多く、現在でも建設現場や農場、降雪地域で活躍している。
なんで「タンポポマット」?
ちなみに、「タンポポマット」の名前の由来は、「日本中の道端にきれいな花を咲かせるタンポポのようにこのマットも日本各地で愛され、花開くように」との願いを込めて名付けられた。また、「タンポポのように踏まれてもへこたれない」という商品の丈夫さをPRする狙いも込めた。ただし、タンポポマットのデザインは変わっていないが、特にタンポポに由来したものではないという。
テラモトはねとらぼ編集部の取材に利用者は減っているとはいえ、「お声がけいただける限り、(タンポポマットの)製造を続けていく所存です」と販売を継続していくことを明言している。なお、ネットでも購入可能。現在は360×600、450×750、600×900のサイズで展開しており、3300円から8030円で販売されている。
テラモトでは靴裏の土砂を落とすマットはタンポポマット以降樹脂製になり、タンポポマットをプラスチックのフレームにした「テラマットダイヤ」や、除塵効果の高いすべてプラスチック製の「テラロイヤルマット」、サイズを自在に組み立てられるユニット式の「ナイロンブラッシュ」など用意している。
また、デザイン性に優れた生活用品やペット用品も取り扱っている。
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