1年分の生理用ナプキンを学生に配布する「奨学ナプキン」 その成り立ちと効果、課題――大王製紙に聞く(2/4 ページ)
4月9日から2024年度の奨学生を募集。
「社会からの理解」に変化
これまでのアンケート調査から、生理についての社会からの理解や支援に変化の兆しがみられるとエリスは述べています。
「隠さなければいけないものと思われがちだった生理や生理用品に対して、以前に比べて話題として目にする機会が増えている印象があり、世の中の捉え方・考え方が少しずつ変わりつつあるタイミングであると感じています。しかし感じ方は人それぞれ異なり、オープンにしたくない、すべきではないという人ももちろんいると思います。そうしたさまざまな考え方があることを受け入れ、生理に対して我慢しなくていい社会になればいいなと感じています」(エリス)
変化が見られるとはいっても、「奨学生の声を聞くたびに、生理に関する課題はまだまだ山積みだと感じています」とエリスは振り返っています。「生理教育を充実させてほしい」「学校でも生理休暇を取得できるようにしてほしい」「生理用品を購入する際のサポートを強化してほしい」など、アンケートでは学生が生理への理解や支援が不足していると感じている状況が浮き彫りになりました。「生理でもプールに入れという先生がいる」とのショッキングな回答もあり、エリスは「学生だけでなく教員に対しても生理教育が必要な実態」だとしています。
「生理のある方を取り巻く環境が少しでも良くなるように取り組んでまいりますので、ぜひ応募をお待ちしております」。4月9日に始まる2024年度の奨学ナプキン募集について、エリスはこう学生に呼びかけています。
「支援できる人数などメーカーだけでできることは限られているので、このような当社の取り組みや発信が小さなきっかけになって世の中に広がっていけばいいなと思っています」――「奨学ナプキン」の現在のあり方についてこう語るエリス。プロジェクトに賛同する企業・団体は2022年から2023年にかけおよそ倍に増えており、今後も賛同の輪が広がることが見込まれます。
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