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セーラームーンの衣装を200着以上制作 コスプレ歴26年の“ストイックなオタク”を直撃 「セーラームーン研究家という表現が近い」(1/3 ページ)

「セーラームーン」のオタクたちを直撃。

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 さまざまなジャンルやコンテンツに存在する“オタク”。ねとらぼでは、新企画「オタクらぼ」として、SNSやYouTubeなどを通して“推し活”などをしているオタクの方に迫っていきます!

 第1回目のテーマは、1990年代から現在まで世界中で愛されている「セーラームーン」のオタクたちを直撃。

 今回は、セーラームーンのコスプレイヤーで衣装制作も手掛ける“セーラームーン研究家”のオタク、うさこさん(@princessusako)にインタビューしました!

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うさこさん

セーラームーンのコスプレや衣装作りで話題に

―― うさこさんといえば、以前ねとらぼでも取り上げたことがある、衣装制作やコスプレが話題ですよね!

うさこさん コスプレイヤーとしての活動が際立ってはいますが、実はコスプレも衣装製作もセーラームーンへの愛情表現の1つの手段でしかありません。コスプレイヤーというよりは“セーラームーン研究家”という表現が一番近いと感じております。

 1998年から“変身”を始め、気が付けば26年という月日がたっていました。四半世紀の間、“セーラー戦士に変身”していますが、30世紀の未来(※同作に登場する未来都市は30世紀)にはまだまだ及びません!

―― 今までコスプレしたことがあるセーラームーンのキャラは何ですか?

うさこさん メインの戦士や敵キャラまでたくさん手掛けてきたので、全て書き出すのは難しいのですが、衣装バージョンの違いはカウントせずで30~40キャラくらいでしょうか。

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美しいプリンセス姿……!

 ちなみに、人生最後のコスプレは既に決めてます! この身を焼かれた後の骨ツボに、黒い布を被せ“ワイズマン”(アニメでは「美少女戦士セーラームーンR」に登場する敵キャラ)になって成仏する算段を立てています。

―― 一番お気に入りの衣装は何ですか?

うさこさん  一番は何と言ってもセーラー戦士の戦士服です。セーラー戦士へ強い憧れを抱き、いつか華麗にメークアップしたいと高い目標を掲げてコツコツと26年間、約200着以上の戦士服を制作し、ラインの研究を続けてきました。

 中でもエターナルセーラームーンは肩の球体部分や羽の部分、3枚構造のスカートのバランスを取るのが難しく、ずっと課題にしていた一着でした。劇場版コスモスの上映をきっかけに、しっかり向き合い制作した衣装が長年技術を積み重ねようやく作れた結晶のように見え、特に思い出深い一着です。

―― 衣装制作において、こだわりポイントはありますか?

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うさこさん コスプレの衣装製作で特に意識しているのは、2次元を3次元にしたときの矛盾点をどうやって穴埋めするかです。

 人間には厚みがあり、手足の長さも腰の位置も2次元のキャラとは違います。衣装の構造に関しても、そのまま再現することは難しい時もあります。いかに自然に3次元に存在しているように立体的に仕上げるかが、制作においての醍醐味だなと思います。

 衣装の色味や質感なども一枚のイラストから分析して生地を探しに行きます。原作者の武内直子先生の戦士服の上品な艶感を出せる種類のサテンを探し回ったり、色に関してはイメージ通りの物が見つからない場合は、生地を家で煮て染めることもあります。色味の立体感を出すために、絵の具の色を混ぜる感覚で二種類の生地を重ねてみたりもします。

 そうやって足し続けていくと、どこもかしこもゴテゴテしいものになってしまうので、引き算もするように心掛けています。際立たせたい部分と抑える部分を調整し、全体のバランスを整えていきます。

―― コスプレイヤーとして、撮影などでこだわりはありますか?

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うさこさん コスプレの作品作りの面白いところは、一人では作れない部分だなと思っています。

 モデルの衣装とポージングで表現するキャラの解釈に、カメラマンさんのライティングや構図の撮り方などの解釈が足され作品が出来上がっていく様子はまさに、色んな人の仕事が積み上がり仕上がっていくアニメ制作現場のようでとてもたぎります。


セーラームーン姿

 完成度の高い作品を仕上げるために自分にできることは、被写体として隙のない素材を提供することだと思っています。そのためには日頃からキャラ分析はもちろん、ポージングのイメトレも大事になってきます。しなやかなセーラー戦士のポージングを表現するためにジムでストレッチを欠かさず続け体の柔軟性をキープしたり、背筋を鍛える筋トレをしたりもしています。

 撮影当日も、カメラを向けられている時は360度どこから撮られてもキャラであるよう常に意識し集中しています。ガレージキットのような切り取られた躍動感のあるポージングが好きなので、大抵髪の毛を飛ばしたりスカートを投げたり、ジャンプしたりくるくる回ったりしています。お気に入りの一枚が撮れるまで粘り、何度もチャレンジしてこれだ!という一枚が撮れた時の達成感と満足感はたまりません。

―― ご自身でセーラームーンを表現し続けているうさこさんですが、“セーラームーンを推すこと”はどんな意味がありますか?

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うさこさん セーラームーンは、私の心の中に深く根付いた巨木のような存在です。30年かけて成長していき、芯がブレず胸の中にあり続けるので、安心して寄り添っていられます。

 子どもの頃からセーラームーンと共にいろいろな時代を経て、他人からもさまざまな意見をもらいました。時代にそぐわないと批判されたり、笑われたことも多々あり、結婚して出産した後は「親になってもまだコスプレしていて母親失格」と言われたこともありました。

 「推し活」と言う言葉が普及し、価値観の多様性が認められてきた昨今では、どちらかと言うと「励みになる」など、お褒めいただくことが増えてきた気がします。

 私自身、当時から何一つやっていることは変わらないのですが、時代によって周りの反応が変化していくのは興味深かったです。この30年を振り返ってみると、他人の評価などその時々でほんの一瞬過ぎ去っていく、ただの景色だったなあと感じることができます。

―― 最後にうさこさんにとって、セーラームーンの魅力とは何でしょうか?

うさこさん セーラームーンの魅力は、アニメ放送当時子どもの頃と大人になった後では変化してきています。当時は華麗に変身するうさぎちゃんの変身バンクにときめき、かわいくてカッコいいお姉さん的セーラームーンに強い憧れを抱いていました。

 大人になってからは敵側の心情にも深く共感していきました。お互いが己の正義を信じ、強い信念を持ち、それをぶつけあっているだけなのだと理解してからは、両者の凛々しさに痺れて、より一層作品にのめり込んでいます。

画像提供:うさこさん(@princessusako)

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