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「わんだふるぷりきゅあ!」の売り上げ好調を支える3つの要因と、その裏で見えてきた「子ども」「大人ファン」の共存問題サラリーマン、プリキュアを語る(2/3 ページ)

「わんだふるぷりきゅあ!」の売り上げが好調です。その要因は何なのでしょうか。

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好調の要因は?

 「肉弾戦がない」「追加プリキュアがいない」という、従来のプリキュアシリーズのパターンを変えながらも、好調が続いている「わんだふるぷりきゅあ!」。その好調の要因は何なのでしょうか?

 まず大前提として、「プリキュア」ブランドの定着による信頼感に加え、「わんだふるぷりきゅあ!」が「子ども向けアニメーション」として丁寧に作られている点が挙げられます。

 そして「肉弾戦がない」とはいえ、アクション自体は豊富で毎回キラリンアニマルたちを駆使したアイデアあふれる戦闘シーンも楽しく、パンチやキックがなくても「プリキュアのアクション」が成立することを証明しています。

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アイデアあふれる楽しい戦闘シーンも魅力

 また「肉弾戦がない」ことは、小さなこどもたちにはプラスに作用しているようで、SNS上では「今作は怖いシーンがないので子どもが楽しく見ている」などの声も多数聞かれます。

 さらに、いろはちゃんと兎山悟くんのストレートな甘い恋愛描写も描かれ、例年ならばプリキュアを卒業してしまう「小学生女子」を引き付けているようです。

 「わんだふるぷりきゅあ!」は、これまでとは異なる層にもアプローチができているのです。


「甘い恋愛描写」が小学生女子を引き付けた

「追加プリキュア」が登場しない?

 また、「追加プリキュアが登場しない」のもプラスに働いているようです。

 例年のプリキュアシリーズでは毎年5~6月に「新しいプリキュア」が登場し、物語を盛り上げると同時に「新しい専用変身アイテム」などの玩具も発売され、市場を盛り上げます。

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 しかし、「わんだふるぷりきゅあ!」では初期に発表された4人のみが活躍し、いわゆる「追加プリキュア」は登場していません。

 追加プリキュアが登場しないにもかかわらず、それが売り上げに全く影響していないどころか昨年対比で上がっているのです。


「わんだふるぷりきゅあ!」には「追加プリキュア」がいない?(画像出典:Amazon.co.jp

 これは、バンダイのおもちゃの販売スケジュールを見てみるとその理由がよく分かります。

 2月に「変身アイテム」「妖精アイテム」が、3月に「武器アイテム」が発売され、5月にキュアニャミーとリリアンの新しい変身アイテム「シャイニーキャッツパクト」と専用武器アイテム「アミティリボンタンバリン」が発売されています。

 実はこれは、「追加プリキュアがいるときと同じ玩具販売スケジュール」なのです。

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 すなわち「キュアニャミー、キュアリリアン」が、販売戦略上は追加プリキュアの位置にいるのです。

 「わんだふるぷりきゅあ!」は「追加プリキュアがいない」のではなく、「追加プリキュアが最初から発表されていた」といった方が正しいかもしれません。


大人にも人気のキュアニャミー

 「追加プリキュア」を最初から発表しておくことにより、多くのメリットが生まれました。

 2月の放送開始時点からキュアニャミー、キュアリリアンのグッズ展開ができ、実際にこの2人のグッズは放送開始から売り上げも好調だったようです。

 また例年だと、後半になって「新しいプリキュア」が登場すると、お菓子などの食品関係はパッケージをリニューアルする必要があったり、初期メンバーしか描かれていない衣類やグッズが陳腐化して売れなくなってしまうため、それならば最初から全メンバーを発表しておくのは、ある意味合理的なのかもしれませんね。

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 最初から「追加プリキュア」を発表し柔軟なグッズ展開ができていたのは、少なくとも今作では売り上げ的には有利に働いていたのではないでしょうか。


キュアリリアンも大人人気が高い

少子化によるターゲット層の変化

 プリキュアの売り上げを伸ばしている要因として、「大人向けグッズ」の展開もあるようです。

 従来のプリキュアのメインターゲットは「子ども」です。しかし日本では少子化も進み、2024年の出生数は年間70万人を割る予測も出ていて「子ども向け」だけではプリキュア市場の成長が見込めなくなっているのも事実です。


日本の深刻な少子化の現状

 そこで、「プリキュア20周年」を迎えた2023年から「かつてプリキュアを見ていた世代に向けた戦略」を公言するようになっています。

 バンダイ常務取締役トイ事業部の辻太郎氏は、おもちゃ業界誌の中でプリキュアは「大人向け商品の販売にも力を入れている」ことを明言しています。

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バンダイ トイ事業部、ライフスタイル事業部担当 辻太郎氏
プリキュアなどは過去作品を視聴する子どもも増えていますし、大人層にも広がっています。また「なりきり」に特化したイベントの実施や大人向け商品の販売にも力を入れているなど、それぞれに合った展開を試行錯誤しながら進めています。
東京玩具人形協同組合 月間トイジャーナル 2024年7月号(P46)

 もちろんプリキュアのアニメーション自体は「子ども向け」なのですが、周辺のグッズ展開では確かに「大人向け」のものも多く発売されるようになっています。

 これら3つの要因により、「わんだふるぷりきゅあ!」は売り上げを大きく伸ばしているのではないかと思われます。

「わんだふるぷりきゅあ!」の売り上げ好調を支える3要因

(1)怖くてプリキュアを見られなかったお子さまや恋愛に興味のある小学生女子など新規層の獲得

(2)追加プリキュアが最初から発表されることによる柔軟なグッズ展開

(3)大人向け展開の促進


「大人向け」商品にも力を入れるように(画像出典:Amazon.co.jp

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