プリキュア変身バンクのセリフを毎回収録する理由とは? いつもと違う「いっしょに遊ぼ♪」、わんぷり第45話で描かれた「相互理解」:サラリーマン、プリキュアを語る(1/2 ページ)
「わんだふるぷりきゅあ!」は「子どもを信頼している」からこそ描ける描写が多いように感じられます。
プリキュアの変身シーンのセリフは、毎回収録しています。
毎週同じセリフなのだから使い回せばよいじゃないか、と思う方もいるかと思いますが、それでも毎回収録するのです。
「わんだふるぷりきゅあ!」第45話で、敵幹部トラメと「いっしょに遊ぶため」に変身した4人のプリキュア。その変身セリフの発声がいつもと少し違っていたことに気付いた人も多いと思います。なぜ、毎回変身シーンの声を収録するのか? その答えがそこにあるのです。
kasumi プロフィール
プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。
- これまでのプリキュア連載一覧
第44、45話で描かれた「どうぶつの命」
物語も終盤に入り、ますますの盛り上がりをみせる「わんだぷるぷりきゅあ!」。
2024年12月8日放送の第44話「たくさんの幸せ」では、老犬の寿命を取り扱いました。老衰により虹の橋を渡っていった犬のフクちゃんとその飼い主、鶴さんの絆が描かれ、プリキュアが「ペットの寿命」に踏み込んだことで大きな反響となりました。
翌週、15日放送の第45話「ずっとずっと友達」では、その「ペットとの悲しい別れ」に対し、どのように接すれば良いのかの「わんだふるぷりきゅあ!」なりの答えが提示されました。
老犬フクちゃんを亡くしたお鶴さんは「ペットロスはとてもつらいけど友達が支えてくれるから大丈夫」と友達の大切さを語り、いろはの飼い犬・犬飼こむぎは「お天気悪くても、ケンカしても、悲しいことあっても、いっしょに遊べばわんだふる、だよね」と、一緒に遊ぶことの大切さを示唆します。
そんなときに対峙(たいじ)した敵幹部トラメの「誰かといっしょにあそびたい」という思いを悟ったいろはちゃんは、トラメとも友達になろうとします。
一緒に遊ぶために変身
そして、4人のプリキュアは敵幹部トラメと「いっしょに遊ぶため」だけに変身したのです。
これまでのプリキュアシリーズでは「大切な人を守るため」「世界の平和を守るため」「なりたい自分になるため」に変身してきました。
そんな中、今作では「敵といっしょに遊んで、友達になるため」に変身したのです。
そのアクションシーンは、ずっと追いかけっこを楽しむプリキュアとトラメの姿が描かれ、みんなニコニコ楽しんでいます。
「いっしょに遊んで楽しかったら、もう友達だよ」というキュアフレンディ。
「戦い」による解決ではなく「いっしょに遊ぶこと」による相互理解という、「わんだふるぷりきゅあ!」を象徴するようなシーンとなったのです。
毎回収録している「変身シーン」の声
プリキュアの変身シーンのセリフは毎回収録しているといいます。
これは「プリキュアが変身に至るまでの感情は毎回違うから」という理由からだそうです(このことはキュアハッピー役の福圓美里さんのインタビューなど、さまざまな媒体で言及されているので、古いプリキュアファンには周知のことかもしれませんね)。
この第45話で「戦うため」でも「守るため」でもなく、ただ「いっしょに遊ぶため」に変身したシーンの4人のプリキュアのセリフは、これまで変身の声とは明らかにニュアンスが異なっていました。
キュアワンダフル「いっしょに遊ぼ♪」
キュアフレンディ「あなたの声をきかせて」
キュアニャミー「仕方ない、構ってあげる」
キュアリリアン「こわくない、こわくない」
それはトラメ個人に向けた、やさしく温かい言葉。
一緒に遊ぶことにより、敵をもニコニコ笑顔にして友達になりたい。そんな感情のこもった4人の変身。まさに「わんだふるぷりきゅあ!」を象徴するかのような慈愛に満ちたそのセリフ。
同じ言葉でも、言い方ひとつで子ども達に違う感情を伝える。
プリキュア声優さん、ひいてはプロの声優さんの「表現の力」は本当にすごいのだな、とあらためて実感したのです。
キュアニャミー役の声優・松田颯水さんも「いつもよりさらにあたたかい温度が伝わるように発声していました」とXでつぶやいています。
お友達になれたばかりなのにと思わずにはいられないけど。
登場人物みんなピュアで、こんなにあたたかい作品だからこそエターナルキズナシャワーが決め技なんやなぁ。
変身バンクも決め技バンクも、いつもよりさらにあたたかい温度が伝わるように発声していました。
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