面白いゲームってどういうこと? ゲームの「面白さ」をもしも数値化できたら――という試み:日々是遊戯
ゲームを面白いと感じるかどうかは、人によって大きく異なるもの。仮にもし、その「面白さ」を数値で測ることができたら……?
そのゲーム、本当に「面白い」ですか?
世の中には面白いゲームもあれば、そうでないゲームもあります。しかし一口に「面白い」といっても、その基準は個人の主観によってまちまち。例えば誰もが納得できるような形で、ゲームの面白さを計測することはできないのでしょうか?
そんな疑問に答えを出すべく作られたのが、今回紹介する「RippleMusic」というWebゲーム。内容自体はシンプルなリズムアクションゲームですが、面白いのはこのゲームが「ゲームの面白さを測る」という実験のために作られたという点です。
遊び方は、画面に現れる大きな円が、小さな円と重なった時にタイミングよくクリックしていくだけ。最初はベースとバスドラムだけですが、ミスせずに続けているとピアノやハイハットといったほかの楽器が加わっていき、どんどんBGMが豪華になっていきます。
ゲームは4回1セットになっており、ランダムに「確実につまらないゲーム」か「もしかしたら面白いかもしれないゲーム」が選ばれる形となっています。それぞれどのように違うのかは伏せておきますが(実験結果に影響を与えてしまうため)、プレイするにあたって特にどちらかを意識する必要はなく、面白くなかったり、途中で飽きてしまったりしたら「次の試行へ」ボタンを押してしまえばOK。すべての試行が終わると、プレイ中のマウスやキー入力が結果として送信され、実験に役立てられるという仕組みです。
制作者は以前、ゲーム制作雑誌「がまぐ!」の編集長として紹介した、ゲームクリエイターの土本強さん。ゲームは9月26日に公開されたばかりですが、土本さんによれば、今のところ「“飽きた”もしくは“諦めた”瞬間はかなり露骨に現れています」とのこと。特に、急激に難易度が上昇し、ゲームにまったく対応できなくなってしまった場合に、そのままゲームオーバーになるのを待つか、もしくは「次の試行へ」ボタンを押してしまう人が多いのだそうです。
「うまくいけば、『面白いゲーム』の数値化ができるかも」と土本さん。これが実現すれば、面白いゲームの開発に役立つのはもちろんのこと、例えばゲームを作る前にその面白さを測ったり、また作っている最中の迷走を防いだりすることも可能になるのではとしています。
土本さんは現在、放送大学の卒業研究用に「ゲームの面白さ」について調査しており、この実験もその一環として行われているもの。記録の内容については十分に精査し、今後論文もしくは、それを応用した新ゲームとして発表していきたいとのことです。
ゲーム制作雑誌「がまぐ!」の最新号。電子書籍形式となっており、サイトから無料でダウンロードして読むことができます
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