クリエイターにチップを贈れる「Grow!」で米国へ Twitter仲間と起業したバンドマン(2/2 ページ)
「Grow!」はクリエイターにチップを贈れるプラットフォーム。「なぜいいコンテンツを作っても、無名の人はもうけられないんだろう」と悩めるバンドマンが一念発起して起業し、開発した。7月には本社機能を米国に移転する。
2人は一気にサービスローンチを目指して動き出す。ワタベさんはバンド活動を一旦休止し、一ツ木さんとともに企画をまとめ直した。2人とも開発はできないため、Twitter経由で知り合ったエンジニアの斎藤幸士さんを迎え入れ、開発は2011年年明けにスタートした。同年3月には会社「Grow! Inc.」を設立し、ワタベさんは広報や営業業務も行うチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)に、会社創業の経験がある一ツ木さんはCEO(最高経営責任者)に就任。その1カ月後にクローズドβ版を公開した。
シリコンバレーという甲子園へ行きたい
Grow!は、クリエイターがサイトに「Grow!ボタン」を設置し、コンテンツへの支援を募ることができる。支援者はサイトを閲覧して「感動した!」「とてもためになった!」などと思った瞬間にボタンをクリックし、事前にGrow!で購入したポイントをクリエイターに寄付する。ポイントを贈ったり、受け取ったりするには会員登録が必要だ。
ポイントは1Grow!=1ドル。クリエイターは、10Grow!につき600円のAmazonギフト券と交換できる。クリエイターが自分のサイトを持っていない場合は、Grow!のプロフィールページでも支援を募ることが可能。ポイントを贈ってくれた相手に対して、ファイルを添付してお礼のメッセージを送る機能も備えた。
当初は「100円ボタン」というサービス名だったが、ボタンを通じて「コンテンツの制作者を応援したい」思いを込め「Grow!」と名付けた。
今年1月に正式サービスへ移行した。現在Grow!ボタンが設置されているのは約500万ページで、会員は約4500人。収益はポイントが寄付された場合の1割を手数料として得ており、今は赤字の状態だ。今後はGrow!でどんなコンテンツが人気かといったユーザーのアクティビティデータを解析し、広告に展開するなどして黒字化を目指す。会員数は2013年度末までに1000万人突破を目標にしている。
昨年11月に米サンフランシスコで開催された日本発のスタートアップ企業のビジネスアイデアコンテスト「SFNewTech JapanNight」で3位に入賞した同社。べンチャーキャピタルや個人投資家から48万5千ドルの資金を調達するなど勢いづいている。
以前から米デラウェア州で法人登記していたが、今年7月には本社機能を米国に移転する予定だ。米国はチップ文化があり、オンライン決済も浸透していることから、Grow!との相性が良さそうと起業時から移転を検討していた。シリコンバレーというネットベンチャーの「甲子園」へ「やっぱり行きたい」という思いもあった。Grow!の第2章はまもなく幕を開ける。
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