船橋市のラーメン店を中心に「幻のご当地ラーメン」を復活させよう、という動きが起こっている。
その名も「船橋ソースラーメンプロジェクト」。船橋市民でさえも知る人が少ないという「船橋ソースラーメン」を期間限定で提供し、地域独特のラーメン文化として盛り上げていこうという試みだ。
「船橋ソースラーメン」というのは、文字通り醤油や味噌の代わりに「ソース」を調味料に使ったラーメン。戦後、船橋駅近くに創業した「花蝶」(現在は閉店)という店が発祥で、現在も数件のラーメン店がこのメニューを受け継いで提供しているそうだ。
今回のプロジェクトは、フードジャーナリストの山路力也さんの呼びかけではじまったもの。スタート段階では6店が企画に参加し、まずは4月20日から5月31日までの期間限定で、それぞれの持ち味を生かした「船橋ソースラーメン(つけ麺)」を提供する。ソース味のスープで、ラーメンもしくはつけ麺の形になっていればあとは自由。各店それぞれに工夫をこらした「船橋ソースラーメン」が楽しめる。
「ご当地グルメで町おこしにつなげようとか、そういう狙いはまったくないんです。そもそもそういう食べ物が“ある”っていうことがまず面白いし、それをもっと多くの人に知ってもらいたかった。ソースラーメンって言うといかにもキワモノっぽいですけど、お好み焼きやたこ焼きを見れば分かるように、小麦粉とソースって基本的に合うんですよ」(山路さん)
気になったので筆者も食べに行ってみた。訪れたのは、京成船橋駅の近くにある「三代目らーめん処まるは極」。
ここの特徴は、スープにとろみがついていること。麺の上には炒めたもやしやキャベツがもりっと盛られていて、上には青のりがたっぷりと振りかけてある。
おそるおそるスープを口へ運ぶ。とろみのあるスープはふんわりと甘く、ソースらしいツンとした酸味はほとんど感じられない。甘くて、しょっぱくて、ちょっとだけ酸っぱい。醤油でも、味噌でも、塩でもない、今までに味わったことのない「第4の調味料」の味だ。だけど、あれ なんだこれ……うまいぞ!?
麺はもちっとした中太麺で、とろみのあるスープがほどよく絡む。もっと焼きそばっぽい味を想像していたが、食べてみるとぜんぜん違う。じゃあどんな味かと聞かれると困ってしまうのだが、強いて言うならば「ソースラーメンの味」だ。醤油ラーメンの味を他の調味料にたとえられないように、ソースラーメンの味はソースラーメンとしか言いようがない。ただひとつ言えるのは、「これ、イケる」!
「みんなゲテモノだと思ってるから、最初のハードルが低いんですよ(笑)。みんな一口食べると『おいしい!』ってビックリしてくれます」(山路さん)
――なるほど、そんなものかもしれない。でも、想像していたような「変わり種」ではまったくなく、これは「定番」になり得る味だ。店主の橋本友則さんによると、お客さんの反応も上々で、2日連続で注文する人もいたという。
まずは期間を限定しての提供となるが、今後はプロジェクト参加店をさらに募り、各店でレギュラーメニューとして出せるようにしていきたいとのこと。参加店や詳細などについてはFacebookページの「船橋ソースラーメンプロジェクト」にて随時公開中。船橋を訪れた際には、ぜひ一度この味を体験してみてほしい。
なお、せっかくなので「三代目らーめん処まるは極」の後、もう1店「麺屋あらき竈の番人」にも足を運んでみた。こちらは「まるは極」とはまた違った味で、これまたうまい……! ソースラーメン、ちょっとクセになりそうだ……。
三代目らーめん処まるは極
「船橋ソースラーメン(800円)」を注文。本文でも触れたが、とろみのある甘口のスープが特徴。独自の白湯スープとソースのコクが合わさって、ほんのりポタージュスープのような後味。スタートは青のりと炒め野菜のおかげでちょっと焼きそば風。さらに小皿で出された魚粉とエビ粉を入れると急激にお好み焼きっぽくなる。「ソース味だけだと途中で飽きてしまうと思ったので。焼きそば→お好み焼きと変化する味を楽しんでください」と橋本さん。でも、入れなくても全然おいしかった!
麺屋あらき竈の番人
こちらは魚介風味の醤油豚骨がウリのお店。提供されている「船橋ソースラーメン(780円)」は、醤油ラーメンの“かえし”を半分ソースに変えただけのシンプルなものだが、魚介のスープにソースの風味が意外なほど合う。「ソースにはもともと野菜のうまみが濃縮されているから、ラーメンのスープとは相性がいいんです」と山路さん。醤油ラーメンにはない山盛り野菜のトッピングも嬉しい。「まるは極」もそうだったが、ソースラーメンは野菜との相性もいいようだ。
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