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喪女が国境を越えた 4chan民が愛する漫画「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」40万部ヒット(3/3 ページ)

無料公開のWeb漫画が国境を超えて話題になっている。喪女が主人公の「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」だ。人気は日本に逆輸入。累計40万部のヒットとなったそのわけを作者に聞いてみた。

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Twitterに英語のリプライが 4chanからブレイク!

――「私モテ」は、英語圏の画像掲示板「4chan」で流行り、それから「2ちゃんねる」や「ふたば☆ちゃんねる」で人気になり、まとめブログに載ることで、口コミが加速していきました。ネットの果たした役割が大きかったですね。「4chan」の「/a/民」(アニメ・マンガ板の住民)に真っ先に届いて、大ヒットに繋がったのはとても面白い現象です。

原作 海外でウケるとは全く思っていなくて、そんなこと考えもしませんでした(笑)。何でこんなに読まれているんだろうと不思議な気持ちです。

――昨年10月に「4chan」で流行ったとき、海外の掲示板を翻訳して紹介しているまとめブログ「翻訳!翻訳ゥ!」がその盛り上がりをほぼリアルタイムで伝えていました。騒ぎには気が付いてましたか。

編集 載ってるよとは聞いていて、どういうつもりなんだろうと思いました(笑)

原作 Twitterで急に外国の方からメッセージが来るようになったんです。Twitterは元々「ちょく!」をやってた頃に告知とかできればいいかなと思って始めたものです。

作画 放置気味のTwitterアカウントだったんですが、頑張って返信するようにしたらたくさん来るようになりました。リプライの中に「ここ(4chan)で紹介されていることを知っていますか?」というのがあって「4chan」の存在を知りました。Twitterではみんなが優しくてかまってくれています。

原作 1月に1巻が発売された時は(Twitterのリプライが)凄い勢いでした。自分から話しかけると相手が困るかなと思って、リプライがきたときは全力で応じるようにしています。

――全レスなんですか。

原作 忙しい時以外は基本的に返しています。面白い返事はできないのですが、やりとりは楽しいです。

画像
谷川ニコのTwitter

――4月末に2ちゃんねるのまとめブログ「ニュー速vipブログ」でも、「私モテ」の人気が取り上げられました。

原作 「ニュー速vipブログ」は元々知っていました。「私モテ」を取り上げたブログが「ステマ」と連呼されていたのは「悪いなぁ」みたいな気持ちがあります。

――ふたばの「もこっちスレ」は読んでいますか。

原作 ふたば自体は知っているんですが、見方がよく分からないです。

編集 ネット上の反応は、反響の大きさを見る程度であまり深くは追ってません。

――木内さんは「私モテ」が一般受けすると思っていましたか。

編集 尖っていたので、意外にイケるんじゃないかなと個人的には思っていました。でもここまでとは予想していませんでした。

――コミックの売れ行きは。

編集 1巻がいきなり売れたので、それを受けて2巻の初版は1巻の初版の10倍の部数が出ています。

――掲載先が雑誌ではなく「ガンガンONLINE」だったことも、ヒットの理由の1つになっているのでしょうか。

原作 「ガンガンONLINE」じゃなければ読まれなかったと思っています。気軽に無料で見られるのはいいですね。

作画 「ガンガンONLINE」だから世界の人に読んでもらえたと思っています。家を出なくても見られますし。無料だと、無名でも読んでくれることがあって、無料公開にはとても感謝しています。

――ネットの申し子みたいな漫画になってますね。「ガンガンONLINE」でのアクセスの内訳はどうなっているんですか。

編集 日本が多いです。海外で盛り上がってるのは一部なのかもしれません。

――そういえば、海外の読者から局部画像が送られてきたことがあると聞いたのですが……。

作画 あとで知ったんですが、「4chan」の「/a/民」じゃない人が悪ノリで送ってきたみたいです(※「4chan」には「/a/民」やランダム掲示板の住民である「/b/民」といった区分けがある)。「/a/民」は送るのを止めようとしたり、Twitterで「変な画像が送られてくるけど開かなくていいよ」とメッセージをくれたりしました。

――Twitter経由で海外のファンからのインタビューに応じたこともありましたね

作画 南米のファンの方みたいです。「私モテ」は日本的な話を描いているつもりだったのですが、外国の方が「みんな同じだよ」と言ってくれたのがすごく印象に残っていて、嬉しかったです。

――学生生活の辛さは万国共通なんですね。

2人 そうみたいです。

“学校”は作品の源

――以前、漫画家養成企画の「ひらめき☆マンガ学校」に参加していたそうですね。

原作 私が参加していました。

作画 私はたまに集まりに参加させてもらうくらい。でもほかの参加者と交流していません……。一応、(学校自体は)まだ終わってないんだよね?

原作 演出で卒業式みたいのはありましたが、正確には今も続いていると思います。

――思い出はありますか。

原作 なんでしょうね……。高校時代があまり楽しくなかったこともあって、学校はやっぱり大変だなと再確認しました。悪く言ってるわけではないです。

――休まず通っていたのですか。

原作 はい。生徒同士の飲み会などにはあまり参加しませんでしたが、普通の講義には行っていましたよ。

――そういえば「私モテ」2巻のあとがきに「野球部への憎しみを忘れずがんばります」と書いてあったのですが、あれは一体……。

原作 些細なことなんですが、学生時代に嫌なことをしてきた相手がたいてい野球部か野球部出身だったんです(苦笑)。ただ、自分と関わった野球部が嫌いなだけで、例えば甲子園に出る人を憎んだりはしてないです。野球自体は好きですよ。

赤木しげるのセリフに「漫画を描いてもいい」と励まされた

――影響を受けた作品や好きな作品を教えてください。

原作 「天 天和通りの快男児」は好きです。それの最終巻に、赤木の「人生の実」についての話があって「ちゃんと生きていればいい」みたいな良い言葉があるんですが、そのおかげで、「漫画を描いてもいい」という考えになりました。

作画 世界観が好きなのは「スヌーピー」のアニメです。大人の顔を出さず、大人の声をなんの言葉にもしていないんです。「ちょく!」や「私モテ」もそうですけど、自分たち以外の言葉や世界のものが目に入らないような感じが好きです。「すんドめ」も同じ理由で好きです。

――「マリア様がみてる」の同人誌をだしたこともあるそうですね。

原作 一般誌でした。

作画 100冊刷って……。

原作 2冊しか売れなくて……。残りは持ち帰りました。まだ家にあると思います。

――今だったら高値で売れるかもしれません。

原作 見せるのは恥ずかしいです。

50歳くらいで引退したい

――名コンビのおふたり。最後に野望や目標を教えてください。

原作 50歳くらいまで続けて、引退できればいいですね。ある程度貯金ができて老後をすごせればいいなと思っています。

――現実的ですね(笑)

作画 そうですね。「来年も描けていればいい」ということを繰り返していきたいです。

著者紹介

高橋史彦(@kingworld)。1985年生まれ東京育ち。「ねとぽよ」などで活動する駆け出しライター。カジノ解禁の行方をウォッチしながら、喧嘩商売の連載再開を心待ちにする日々を過ごしている。


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