世界50カ国の「試し書き」を集めて、無意識のアートとして展示する「世界タメシガキ博覧会」が、表参道にある「文房具カフェ」で10月2日まで開催されています。
壁一面に飾られているのは、色とりどりの額縁に収められた世界各国の試し書き。何も知らずに見たら、ちょっとした現代アートのようにも思えます。
「どの国の試し書きにも多いのが、ハートマークや“お母さん大好き”といったメッセージ。無意識に書くものだからこそ、面と向かって言えない本音が現れる。試し書きは無意識のアートなんです」
試し書きを表面的なアートとしてだけではなく、人間の本質を読み取るツールとして楽しむのは、主催である寺井広樹さん。今年3月に始めた博覧会は、今回で早くも5回目を迎えました。
この世界にのめり込むきっかけになったのは、世界放浪中にベルギーの文房具屋さんで出会った試し書き。なんておしゃれでかわいいんだ――。以来すっかり試し書きに魅せられ、5年かけて50カ国・約2000点もの作品を収集したそうです。
「国によって試し書きにも傾向があるんです。例えば中国の試し書きは“疲れた”とか“信じることができない”といった、なぜか後ろ向きな言葉が多い。それからこれはエチオピア。筆圧が強かったり、いろんな角度で試していたり、他の試し書きとは本気度が違いますよね。買い物で失敗したくないという思いや、不良品の多さが現れているんだと思います」(寺井さん)
無意識をさらけだす試し書きは、いわばその人の寝顔のようなもの。普段は見せない「素」の姿に、寺井さんは魅力を感じると言います。
文房具カフェでの博覧会開催はあとわずか。展示しているのはコレクションのほんの一部だそうですが、お蔵入りしてしまう前にぜひ、奥深い試し書きアートの世界を味わってみてはいかがでしょうか。
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