10月7〜11日開催の「CEATEC JAPAN 2014」のオムロンブースへ行ったら、ロボットと人が卓球台でラリーをしていた。ロボットハンドでラケットを動かしながら、1秒に1往復のペースでリズミカルにピンポン球を打ち返し、20回以上ラリーを続ける。筆者よりずっとうまいぞこれは。
この「ラリー継続卓球ロボット」は、オムロンが従来のセンシング&コントロール技術に「Think(機械が自ら考えること)」を組み合わせたデモンストレーション。卓球ロボットが「この球をどう打ち返せば相手は打ちやすいか」を考えるという、「機械が人に合わせる社会」の理想を形にしたものだ。
仕組みの要は、卓球台の上にある2種類の画像センサと、ラケットを握ったロボットハンドを動かす産業用コントローラと5台のサーボモータ、そしてこれらを“Think”して束ねる予測制御プログラム。ロボットハンドを動かすシステムは食品工場でものを運ぶ機械として活躍しているなど、ロボに使われたセンシング&コントロール技術はさまざまな分野へ実際に提供されている。
人間が打ってきたときのロボの動作は次の通り。1種類のセンサが人間からの「打球の位置と速度」を3次元で秒速80回測定し、もう1種類が「人間とラケットの位置」を測定する。瞬時にプログラムがこっちに来る「球の軌道と速度」を予測し、自分がどんなラケットの振りをすればうまく返球できるか計算。結果を元にロボットハンドを1000分の1秒単位で制御して、相手へ打ち返す。これらの一連の動作と思考を1秒以内に行うから驚きだ。
しかも人間がふわっと遅めの打球をするとロボも遅く打ち返す。相手と同じ速度で打ち返すよう計算しているらしく、ロボの気遣いには頭が下がった。下手くそな筆者とぜひ風呂あがりにラリーしてほしいところ。
Thinkを加えたセンシング&コントロール技術は、生産現場でロボが人間の位置を把握して荷物をどけたりするなど、「人と機械が最適に調和した豊かな社会」を実現させるキーテクノロジーとして開発を進めていくそうだ。つらいことがあった日にロボットの思いやりで心を温める――そんな社会もいいかもしれない。
(黒木貴啓)
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