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宮司さん自作の獅子舞ロボット「からくりおみくじ」が舞う 京都・錦天満宮を直撃!

宮司さん設計のロボットが引いてくれるおみくじが京都の錦天満宮にある。その製作秘話を聞き、宮司さんの設計者魂に触れてきた。

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 人が近づくとうねうねと踊り出し、お金を入れるとおみくじをくわえて運んでくれるロボットの獅子。そんな不思議なおみくじが、京都の錦天満宮にあるという。しかも、設計したのは宮司さん。「からくりおみくじ」の製作秘話を聞いてきた。

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からくりおみくじ1号

 錦天満宮があるのは、京都市中京区の新京極商店街。商店街の一角に「知恵・学問・厄除け・招福の神様 錦天満宮」という看板が掛けられ、多くの提灯が吊られている先にある。学業の神様「天神さん」こと菅原道真公を祭る平安時代に建てられた神社だ。

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朝からにぎわう新京極通り
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提灯がずらり

 境内に入ると天神の使いである「撫で牛(なでうし)」こと「臥牛(がぎゅう)」がてかてかと輝いていた。手水舎からは「京の名水 錦の水」が湧きでており、ペットボトルやポリタンクを持った人たちが水をくんでいる。

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穏やかな表情の臥牛
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京の名水 錦の水

 境内の奥へと足を進めると、拝殿のすぐ近くと、拝殿から向かって左に、ガラスケースに入った獅子舞のロボットが。「からくりおみくじ」と記されている。

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拝殿の近くにある「からくりおみくじ」1号
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拝殿の左にある「からくりおみくじ」2号。1号より小ぶり

 「からくりおみくじ」の獅子たちは雅楽に合わせて体を曲げたり、伸ばしたり、口を開け閉めしている。お金を入れると箱からおみくじをくわえて取り出し、受け取り口に入れてくれた。

 おみくじの周りには修学旅行らしき学生や、若い女性、カップルなどさまざまな人が集まっていた。ロボットの動きに驚き、声を上げる海外からの観光客も。

「からくりおみくじ」1号

 おみくじを引いた女性に聞いてみると、近くの錦市場に漬物を買いに来て、ふらりとこの神社に立ち寄ったという。「初めて見たから、あら、面白いな、と思いました」と笑顔で答えてくれた。

「からくりおみくじ」1号でおみくじを引く

元祖「からくりおみくじ」1号ができるまで

 「からくりおみくじ」の開発者は錦天満宮の宮司・大和正夫さん。宮司を継ぐ前は横浜の設計事務所にいて、荷物を積み揚げるロボットや、部品を組み立てるロボットなどを設計していた。「からくりおみくじ」は、設計事務所で働いていた15年以上前に作ったとのこと。

 「(設計の技術を生かして)神社の境内で何ができるかを考えた時、おみくじがいいのではないかと考えて作りました」(大和さん)

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からくりおみくじ図面

 製作には半年かかり、製作費も高かったという(実際の金額は秘密)。しかし、大変だと感じることがあったか尋ねると、「それはないです。面白かったです」と答えてくれた。 

 「からくりおみくじ」は人気で、完成当時は新聞が取材に来たそうだ。そして全国へと広がっていったという。「業者の人が私の作った『からくりおみくじ』を見ましてね。商売の展開をさせてくれないかと」

 その後、メーカーとの共同で「からくりおみくじ1号機」をもとにしたロボットが10台作られた。現在、他の神社でも活躍している。

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2号を横から見ると……

さらなるチャレンジ

 しかし大和さんの設計者魂はこれだけでは満足しなかった。

 「1号はあまりに金がかかるんで、正直なところよほど売れないとペイしないんですよ。だからもう一つ作ったんですよ、2号を」(大和さん)

 「からくりおみくじ」の動きの面白さは失わずに半分の値段で作れないかと、大和さんは2号の設計に取り掛かった。しかし、商業目的ではなかったという。

 「値段というのも大きな技術なんですよ。(製作費は下がっても)もともとの機能は失われてないよ、というのを目指したんですね」

からくりおみくじ2号

紙芝居もロボットで

 10年前、宮司であったお兄さんが亡くなり、急きょ神社を継ぐことになった大和さんは、40年働いた横浜を離れ京都に帰る。覚悟はあったものの抱えていた仕事を終えられないまま、辞めなければならなかったのは辛かったという。

 しかし宮司となった大和さんは錦天満宮の歴史に関心を持ち、調べていくうちに面白いと思うようになったそうだ。「神社の歴史を発信したい、それには紙芝居が面白いんじゃないか。そう思って紙芝居を作ったんです」

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紙芝居ロボット

 そこで4〜5年前に「紙芝居ロボット」を製作。ナレーションに合わせて、イラストをロボットが自動で切り替えていく。菅原道真の生涯や京都の歴史などを神社の由来を語り、上演時間は16分。しかし、「5分ほどで紙芝居の前から人がいなくなるんですよ」と大和さんは苦笑していた。

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横から見た紙芝居ロボット

「からくりおみくじ」以外にも見どころが

 錦天満宮では「からくりおみくじ」のほかにも見どころがある神社。鳥居の上部が両脇のビルに食い込んでるおもしろスポットでもある。どうしてこのような形になったのだろうか。

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ビルに食い込む鳥居

 一般的に鳥居は柱の部分から、上部の「笠木(かさぎ)」など地面と平行する部分が横に張り出している。錦天満宮の鳥居の柱は道の端と端に立っていて、上部が道幅よりも大きくなっている。一方、鳥居の両脇の建物も道ぎりぎりに建っている。建物が平屋だったころは何も問題がなかったのだが、戦後2階以上のビルになり現在のような状態になったという。しかし、そのせいで特に困ったことはないそうだ。

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柱も建物も道ギリギリ

不思議が集まり、人も集まる

 「からくりおみくじ」でおみくじを引く人、「錦の水」をくむ人、「撫で牛」をなでる人、末社に静かにお参りする人など境内にはさまざまな人がいた。お守りを買いに来る女性も多いという。そして、ビルに埋まった鳥居を写真に収める人も。

 それぞれの願望を持つ人々で、錦天満宮は朝からにぎわっていた。

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末社:光源氏のモデルとされる源融(みなもととおる)を祭る塩竈(しおがま)神社
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末社:商売繁盛の日之出稲荷(ひのでいなり)神社
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末社:子授けの白太夫(しらだゆう)神社
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末社:7柱の神様を祭る七社之宮(ななしゃのみや)
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谷町邦子

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