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国立大の「文系学部廃止政策」に日本出版者協議会が反対 「大学教育は金儲けのためにあるわけでない」
「先人の知的蓄積を継承し、未来を構想するのが『文化的教養』」だと「文系学部」の必要性を訴えています。
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文部科学省は6月、全国86の国立大学に今後6年間で教育養成系および人文系の学部を廃止または再編成するよう指示しました。この政策に反対する声明文を、8月27日に日本出版社協議会が発表。「大学教育は金儲けのためにあるわけでない」と非難しています。
声明では、同政策は2013年に閣議決定された「国立大学改革プラン」を受けたものだと説明。「独立行政法人化」「グローバル化」を押し付けるプランにより、教員の労働負担が増え、文系大学の予算配分も権限も削られていることを踏まえて、国立大学は「徹底した経済の論理によって文科省に支配されている」と述べています。
資本主義になりつつある状況に対し、日本が国立大学を設立したのは「若者が日本の未来を託すことができるような市民的成熟を果たすよう支援するため」と解説。国立大学が「自国の歴史や文化に対する愛着も関心もなく、ひたすらグローバル資本主義に邁進し、高い地位と年収をめざす学生たちの競争と格付けだけのための場になった国に未来はないだろう」と指摘しました。
出版業界の視点からも、現政権の教育政策は「教養の必要性の軽視」であり、政治や社会への批判的視点を持てない“物言わぬ専門家”を育成させると説きます。日本の出版不況はさらに危機的な状況を迎え、大学教育が力を注がない人文・社会科学の書籍の需要も急激に低下するとのこと。「先人の知的蓄積を継承し、未来を構想するのが『文化的教養』」だとし、これを学生に伝えるためにも文系学部の必要性を訴えています。
(黒木貴啓)
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