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話を削ったのは私の選択だ! 藤田和日郎が語ったアニメ「うしおととら」への言葉が誠実で熱くて愛に満ちていた

自分が生んだ作品への責任感と愛情を感じる、真っ直ぐな言葉。

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 「週刊少年サンデー」で1990年から1996年まで連載していた藤田和日郎さんの漫画作品「うしおととら」。2015年7月からテレビアニメシリーズが始まったことも今年は話題を呼びましたが、そのアニメ版にファンから寄せられた批判の声に、藤田さんが放った言葉の数々が素晴らしいと話題になっています。

 連載終了から20年がたとうとしている中での待望のアニメ化。しかし実は、このアニメシリーズが始まる前、原作ファンの間では1つの懸念が取りざたされていました。それは、この作品が全33巻+外伝1巻という大作であることに由来したものでした。

 その懸念とは「きちんとすべてアニメ化されるのか?」というもの。「うしおととら」は、たくさんの絆が最後に結集する大団円的な構成の物語。原作を愛するものとして、それがきちんと再現されるのか? 余計なカットはされないか? と不安を覚える方が多く現れていたのです。なにしろ、外伝含めて全34巻の物語を、3クール合計39話で表現しなければなりません。単純に計算して1話当たり1巻と少し。不安を覚えるのも仕方がありません。

 そしてその不安はある意味、的中することになりました。

 あのシーンがない。あのキャラが“登場すらしない”。そんなアニメのプロットに不満を覚え、否定的な声を口にするファンが次々と現れたのです。

Googleのサジェストで「うしおととら カットしすぎ」
「うしおととら カットしすぎ」というサジェストまで出る状況

 それらは悪意による批判ではなく、原作を愛するからこその悲しみの声。悪意でないからこそ、どう扱うべきか迷うものでもありました。そんな声はやがて、原作者である藤田さんの耳へと届くことになります。

 そこで藤田さんがとった行動は、それを無視するでもなく、怒るでもなく、ただ誠実な言葉を並べることでした。

 アニメのスタッフも「うしおととら」を大切にしてくれている。話を削ったのは自分が犯人。そして、「うしおととら」のもともとの物語や登場人物がアニメにならなかったことで、この世で1番悔しがっているのは、“あなたではない”。

 この魂がこもった熱い言葉は、ファンの心を震わせました。

 生み出した本人が一番悔しい。しかしそれでも「削ることを自分で選んだ」とはっきりと宣言する。その姿は、創作者としての責任感や誠実さ、そして作品への愛情を感じさせるもの。事実藤田さんは、雑誌のインタビューやアニメ監督との対談で、「スタッフがカット無しでやりたいと言っていたが、自分は与えられた39話という枠内でできちんと完結させたいと希望した」と何度も繰り返し語っています。

アニメ版監督西村聡さんとの対談。映像内で「自分が決めた」ことを何度も強調しています

 そして藤田さんは、「いつも観てくださってる人ありがとうね。原作「うしおととら」を読んでくれてた方、今読んでくれてる方も、もっとありがとう! アニメはアニメで面白いし、漫画は漫画で楽しいよー」とちゃめっ気あるツイートでこの話題を締め、また普段のツイートへと戻っていくのでした。

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