2月17日に文化審議会は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産の2017年度審査に、「来訪神:仮面・仮装の神々」を申請することを発表しました。秋田県「男鹿のナマハゲ」や沖縄県「宮古のパーントゥ」など、国内にある仮面・仮装を使った来訪神(らいほうしん)行事8件を一括した無形文化遺産として申し込みます。
来訪神行事とは、正月など年の節目を迎える際に、地域の住民が仮面や蓑笠を身につけて来訪神に扮(ふん)し、家々を訪れては子どもや怠け者を戒めたり災厄を払ったりして幸福をもたらす行事。鬼のような面に包丁を携え「なぐごはいねがー(泣く子はいないか)」と子どもたちを訪ねて周る、秋田・男鹿半島のナマハゲが特に有名です。
実は2011年にもナマハゲを単体で登録できないか情報照会を行いましたが、2009年に重要無形民俗文化財に登録された鹿児島の来訪神行事「甑島のトシドン」と類似しているということで認められませんでした。そのため登録済みのトシドンに国内ほかの来訪神行事も合わせ、「来訪神:仮面・仮装の神々」と一括して申請に至った経緯があります。
申請する8件はいずれも国指定重要無形民俗文化財で、「甑島のトシドン」(鹿児島県薩摩川内市)、「男鹿のナマハゲ」(秋田県男鹿市)、「能登のアマメハギ」(石川県輪島市・能登町)、「宮古のパーントゥ」(沖縄県宮古島市)、「遊佐の小正月行事(アマハゲ)」(山形県遊佐町)、「米川の水かぶり」(宮城県登米市)、「見島のカセドリ」(佐賀県佐賀市)、「吉浜のスネカ」(岩手県大船渡市)。
文化審議会は、来訪神行事は各伝承地域でコミュニティの結びつきや世代を超えた人々の対話と交流を深めていると説明。ユネスコ無形文化遺産代表一覧表への記載されることで、「地域の人々の絆(きずな)としての役割を果たしている無形文化遺産の保護・伝承の事例として、国際社会における無形文化遺産の保護の取組に大きく貢献」できると提案しています。
今後は3月上旬の無形文化遺産保護条約関係省庁連絡会議で提案を審議し、3月末にユネスコに提案書を提出。2016年秋にユネスコ政府間委員会(無形文化遺産保護条約政府間委員会)で審議が行われる予定です。なお、2015年3月には京都祇園祭の山鉾(やまぼこ)行事や秩父祭の屋台行事と神楽など、国指定重要無形民俗文化財の山・鉾・屋台行事を一括した「山・鉾・屋台行事」を申請し、今年11月に審査が行なわれます。
(黒木貴啓)
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