5月28日から全国ロードショーの映画「燐寸少女 マッチショウジョ」。欲望、嫉妬(しっと)、うそが渦巻く妄想の具現化がもたらす物語を描いた鈴木小波さんの人気コミックの映画化は、アンデルセン童話「マッチ売りの少女」をモチーフとしたもの。
同作で、擦った人の妄想を具現化する“妄想マッチ”を売るミステリアスな少女・リンを演じるのは、初の単独主演となるSKE48の佐藤すみれさん。ゴスロリの衣装に身を包み、心に闇や傷を抱える人の前にふっと現れ、言葉少なに妄想マッチを差し出すリン。映画公開に先立ち、佐藤さんにインタビュー。ゴスロリ衣装で臨んでくれました。
「応援してくださっているファンの中には、私が少しでも映っている映像作品があるととても喜んでくださる方もいて、単独主演が決定したことを早くお知らせしたいなという気持ちを秘めながら握手会をしていました」と話す佐藤すみれさん
「こんな日が来るんだなあって(笑)」
―― 初の単独主演作の公開を間近にして、今はどんな心境ですか。
佐藤 6歳から子役として芸能活動を行っていて、映画にもこれまで何度か出演させていただく機会があったんですが、単独の主演は初めてなので「こんな日が来るんだなあ」って(笑)。
SKE48でいうところのセンターをやらせていただいたことで、いい意味で堂々としていられるんですよね、自信がついたというか、「やってやったぞ!」みたいな。「燐寸少女」のポスターや予告編を見て、やり切ったという思いとともに、自分が真ん中にいてもいいんだと後からじんわりと実感しています。
―― 佐藤さんはリンにどんなイメージを持って演技されたんですか?
佐藤 最初は、人間よりも人形っぽいとか、まばたきをまったくしないとか、感情がまったく表に出ないとか、そんな勝手なイメージを強く持っていました。それを内田浩監督と話し合ったりして、徐々に崩していきましたね。最終的には、当初イメージしていたリンとは全然違う演技になりました。
―― リンは主役ですけど作中の登場はそれほど多くないですよね。その短い時間で印象づけるために何か演技で工夫されたんですか?
佐藤 作中に登場するのは基本的に普通の人で、リンだけが異質な存在なんですよね。観客の皆さんも、「リンは何者なのか」という疑問を持ちながら見るだろうから、リンが出てきたときに背筋が凍るようなインパクトを与えることができればいいなという思いで演じましたね。「また気になる存在が出てきた! 何なんだコイツ!」みたいな。語らず、簡潔に言いたいことをクールに伝えていくのがリンなので、一言一言にリンらしい演技を込めました。
―― 実際に演じてみて難しかったのは?
佐藤 せりふが棒読みに聞こえてしまうところ。そういうイメージで演技していたとはいえ、撮影・録音したものをチェックしてみると、やっぱり何かが違って。同じせりふをいろいろな言い方をしてみたり、表情も目だけ笑ってみたりして、「あ、これだ!」と思える演技を探し続けましたね。
それもあって撮影終盤は自然なリンになれたんじゃないかなー?(笑) 実は、初めて登場して「リンと申します……」と言うシーンは終盤に撮影したんです。初登場のシーンってとても大事だからこその撮影順だったのかもしれませんね。だから、私自身はそのシーン、かなり良いんじゃないかと思っています。
「かなりワガママを言わせてもらった」ゴスロリ衣装のこだわり
―― リンのゴスロリ衣装も目を引きます。
佐藤 リンは、自分の意見がかなり取り入れられたビジュアルになったと思います。ゴスロリはもともと大好きで、燐寸少女の衣装も、今日着ているのもAngelic Prettyという特にお気に入りのブランド。衣装決めは女子の意見って大事だと思ったので、かなりワガママを言わせてもらいました。
―― そんな衣装のこだわりポイントは?
佐藤 パニエ(スカートの膨らみを出すためにはくもの)! 今日は2枚ですが、撮影中は4枚でした。ロリータファッションの場合、2〜3枚でかなり膨らむんですが、リンの存在感を出すためにも思いっきり豪華でいいんじゃないかなということで。
生地もそれぞれどのようなものを用いるか、内田監督やスタッフさんと一緒に迷い続けました。あと、胸元のリボンやマニキュアの濃い赤。最初は普通の赤だったんですけど、マッチを擦る手のアップのシーンを撮影してみて、もっと毒々しい赤にした方がいいんじゃないかなと思って。あとすごい余談なんですが、私の指のササクレでNGが何度も出ました……(苦笑)。
佐藤さんが具現化したい妄想とは?
―― よく聞かれる質問だと思いますけど、佐藤さんが具現化したい妄想は?
佐藤 いろいろ答えてきたんですよね。東京と名古屋の新幹線での移動が大変だから瞬間移動がしたいとか、髪の毛の色をすぐに変えたいとか。でも、燐寸少女が原作も映画もダークな内容で、結局、どんな妄想を具現化しても何か副作用的なものがついてくるし……とか考えちゃって、疲れない身体とか、つまんないのしか出てこない(笑)。
―― 原作では、マッチを擦ってうっかり頭をよぎったことが具現化してしまう展開もありました。佐藤さんがついうっかりしてしまいそうな妄想は?
佐藤 「総選挙で1位になりたい」とか? かなっちゃったらヤバい、本当にそれは(笑)。やっぱり、てっぺんに立ちたいと思うときもごくまれにありますけど、わたしにはそれは、ちょっと……。リンを演じてからは、大胆な妄想はしなくなっちゃいました(笑)。
―― 最後に、これから映画を見る方にメッセージをお願いします。
佐藤 こだわり始めるととことんやっちゃうタイプなので、燐寸少女では見た目も中身も細かくこだわりました。何回でも見てもらいたいですし、SKE48としての活動は名古屋が中心ということもあって、全国公開されることがやっぱりうれしいなって思います。同じく名古屋で活動している「BOYS AND MEN」から本田剛文さん、小林豊さんも出演しているので、たくさんの人に見てもらえたらうれしいです!
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