月の残業80時間超える企業が20%超 政府が初となる「過労死白書」を作成
一般労働者の年間総実労働時間は2000時間前後と高いまま、有給の取得率は50%を切っています。
厚生労働省は10月7日、過労死の現状や防止施策の状況をまとめた「過労死白書」を公開しました。2014年6月に過労死等防止対策推進法が成立してから今回が初の作成となります。
白書では、長時間労働は過労死等の最も重大な要因だとし、年間の労働時間について一般労働者(パートタイムを除く)の年間総実労働時間は2000時間前後と高いまま下がっていないという調査結果を提示。週60時間以上働く人の割合は減っているものの、性別・年齢層別では30歳〜40歳代の男性が変わらず一番高いとしています。
また、残業時間が最も長かった月で80時間を超える企業は全体で22.7%。業種別では「情報通信業」が44.4%と一番多く、続いて「学術研究、専門・技術サービス業」の40.5%、「運輸業、郵便業」の38.4%となっています。
有給の消化率については、付与日数は長期的に微増しているものの、取得率は2000年以降50%を下回るという結果に。
仕事や職業生活に関する強い不安・悩み・ストレスを感じる労働者の割合は50%を超えたままで、中でも「仕事の質・量」が原因となっている人が多いことが示されています。
防止対策の状況として、脳・心臓疾患事案や精神障害事案の解析や、長時間労働等のリスク要因による循環器負担への影響の研究を始めていることを報告。その他、広告やWebサイト等による周知・啓発も実施し、2020年までに週60時間以上の労働者の割合を5%以下、有給取得率を70%以上にし、将来的に過労死等をゼロにすることを目指すとしています。
(宮原れい)
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