男子生徒だけで宝塚歌劇団の演目を再現する東海中学校・東海高校(愛知県)の「カヅラカタ歌劇団」の公演が、「あらゆる意味でクオリティー高すぎ!」と話題になっています。
「カヅラカタ歌劇団」の「カヅラカタ」は「たからづか」の逆読み。その名の通り、宝塚の演目の再現にこだわっています。公演は今年で14年目。もともとは文化祭の演目でしたが、人気のあまり独立公演となりました。
ダンスや歌のレベルの高さに加え、圧巻なのが「宝塚から借りてきたのか?」「宝塚との共催なのか?」と思うほどにハイレベルな衣装や舞台装置、メイク。さらに、音楽の一部は生演奏。筆者は高校時代に演劇部に入っていましたが、手持ちの洋服を衣装にし、マイクなしの生声、BGMは録音でした。私もこんな舞台に立ってみたかった……!
プロの劇団顔負けの「カヅラカタ歌劇団」。一体、どうやってこの大規模な舞台を作り上げたのか? 顧問の久田光政先生に電話取材を行い、「カヅラカタ歌劇団」と公演を支える裏方について聞きました。
――「カヅラカタ歌劇団」は部活動ですか? それとも独立組織なのでしょうか?
もともとは文化祭の企画として有志が立ち上げたものでしたが、現在は「東海高校演劇部」として活動しています。演劇部ではカヅラカタ歌劇団の公演しか行っていないので「カヅラカタ歌劇団」と呼ばれているんです。
――文化祭の企画が部活に昇格したのですね。キッカケは何だったのでしょうか?
公演で使用する衣装を倉庫で保管していたところ、学校側から「部活動にすればクラブハウスが使える」と提案いただいたのがキッカケです。当時は演劇部が休眠状態でしたので、カヅラカタ歌劇団を演劇部にする形になりました。
――あれほどの舞台を作るとなると、役者だけでなく裏方スタッフもかなりの人数が必要かと思います。現在、部員は何人いらっしゃるのでしょうか?
現在は21人で、全員が役者です。本家の宝塚歌劇団はもっと大人数なので、カヅラカタ歌劇団では1人が何役も担当しています。
――全員が役者!? では、照明、音響は誰が担っているのでしょうか?
「名古屋工学院専門学校」と協力し、照明や音響をお任せしています。カヅラカタの舞台を専門学校の実習の場にしたのです。こうすることで、LEDを使った表現、ピンマイク10本を使っての音響など、プロ仕様の舞台が可能になりました。
――生演奏も入っていますよね。演奏はどなたが担当しているのでしょうか?
東海高校には30年の歴史ある「東海高校中学オーケストラ部」がありますので、10回記念公演から生演奏を入れていただいています。ただ、さすがに全曲生演奏は難しいので、宝塚歌劇団の公演を音源として使用している箇所もあります。
――宝塚歌劇団のオリジナル楽曲を再現していますが、楽譜はどこから手に入れたのでしょうか?
楽譜は販売されていませんので、プロの方にお願いし、宝塚歌劇団公演の音源をもとに作っていただきました。中には、2年前に東海高校中学オーケストラ部の部員が「自分が編曲したい!」と全楽器のパートの楽譜を作り、編曲した曲もあります。本人いわく、1000回近く原曲を聞いたそうですよ。
――脚本も自分で作っているのでしょうか?
脚本は宝塚の「ル・サンク」という写真集に一部が掲載されています。といっても、完全版ではありませんから、足りない部分はDVDを見て書き起こしました。
本当は宝塚の舞台を100%再現したいのですが、役者の数などの都合で調整せざるを得ない場合もあり、その部分だけアレンジを入れています。宝塚ファンの中には宝塚とカヅラカタ歌劇団の違いに気づかれる方もいますが、好意的に受け止めてくださっているようです。
――プロが作ったかのような豪華絢爛(けんらん)な衣装も目を引きますが、自作なのでしょうか?
貸衣裳屋から譲り受けた衣装をベースに、「すみれ会」という保護者有志の方々にアレンジしていただいています。もともと女性用だったものを男性サイズに調整したり、脱ぎ着しやすくしたり、筋骨隆々とした腕が出ないように袖をつけたり……100均にはお世話になっていますよ。ちなみに、黒のエンビ服は学生服をアレンジして作っています。
――宝塚風のメイクも本格的ですよね。メイクは誰が行っているのでしょうか。
団員自身がメイクし、専門家の方に仕上げしていただいています。カヅラカタ歌劇団に入るとメイクができる男子高生になれますよ(笑)。
脚本、楽譜の自作に、保護者や専門学校の協力……宝塚へのほとばしる愛が生み出した奇跡の舞台「カヅラカタ歌劇団」。なお、最新情報は公式ブログで公開されています。
(動画提供:@kahominiさん)
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