旭川工業高等専門学校の学生が教員に対してたたきつけた挑戦状がTwitterで広く拡散され、注目を集めています。「全化学科の学生を代表して貴様らに挑戦状を叩き付ける」などの緊張感あふれる言葉でソフトボールの試合による挑戦を告げており、「当日に敵前逃亡しないよう、せいぜい覚悟を固めておけ」と挑発的。これに対し教員側も「我々と同じ土俵で戦えるこの機会をせいぜい楽しむがよい」と応戦状を提示。なんともピリピリした雰囲気ですが、実はこれは旭川高専で40年以上続く伝統行事なのです。
挑戦状は「遂に我々が下克上を果たす時が来た」から始まり、「学生を苦しめるために大量のレポートを課し、テストの問題文は訳のわからない日本語で書かれている(化学よりも国語を勉強したほうがいいのではないか?)」「理想像から外れた学生には、ボロ雑巾のように留年を言い渡す貴様らは教員失格どころか人間失格である」と教員に対する恨みを羅列。「どうせ貴様らのボロボロな体(主に肺と肝臓)ではろくにバットも持ち上げられないだろう」と煽りながら、「十月二十日午前十一時グラウンドにて待つ」と告げています。戦が始まる。
対する教員側の応戦状も「人生には、無謀な挑戦をしたくなる時期があるものだが、身の丈を知らないにも程がある」と学生をたしなめながら、“学生側の愚行”として「最高学年としての自覚がない」「多くが高専卒業見込みの学力レベルに達していない」「礼儀正しく振る舞えない」などの項目を列挙。「自由気ままに振る舞った諸君が、この先どうなるかは火を見るより明らか」として学生の挑戦に応じる構えです。教員側もやる気満々です。
非常にシリアスな展開になっていますが、もちろんこれは教員と学生との信頼関係があって成立しているもの。各教員に宛てた個別の挑戦状もあり、「お前奥さんとラブラブらしいな」「どうせ俺らのことも『別に……』って思ってんだろ。お前は沢尻エリカか」「学生に彼女を見せびらかすのをやめろ。正直、学生の反応は微妙だぞ」などユニークながらもなかなか辛らつ。旭川高専によると「教員と学生の距離が近くプライベートなことを話すこともあるため成立している」と語っています。
この“挑戦状の伝統”はすくなくとも1972年ごろにはあったとのこと。始まった理由は不明ですが、1969年から1970年にかけて学園紛争が起こったことを背景に、学生と教員の親睦を深めるために始まったものとみられています。当初は野球の試合が行われていたそうですが、女子の参加を促すために近年ソフトボールに移行。毎回和やかな雰囲気で行われるそうですが、やはり教員側が勝利することはほとんどないそうです。
20日に行われる予定だったソフトボールの試合ですが、雪と雨によって延期になっており、「学生も残念がっているが、グラウンドの状態をみる限り今年は厳しい」と中止になる見通し。なお、挑戦状には「この憎悪をSNSで拡散してやりたい」とありましたが、前述の通りこの挑戦状はTwitterで広く拡散され、現在は6000RTを突破。学生側の目的の一部は果たされたようです。
画像提供:旭川工業高等専門学校
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