電通、書類送検を受け経緯や施策を発表 過労自殺について「パワハラとの指摘も否定できない」「行き過ぎた指導があった」
「高橋まつりさんのような出来事が二度と起こらないように」と労働環境改革を行うとしています。
電通は12月28日、東京労働局から労働基準法違反の容疑で書類送検されたことを受け、「事態を厳粛に受け止めている」としてお詫びのコメントと共に、現状の認識と今後の労働環境改革、社内処分について発表しました。
2015年4月に同社に入社し、同年12月25日に亡くなった高橋まつりさんについては、内部調査に加えて法律事務所による調査を実施し事実関係を検証。その結果、「2015年10月から急激に業務量が増大し、12月にかけて長時間労働の状態」で、かつ「仕事への責任感や職場での人間関係等が高橋さんにとって強い心理的ストレス」となり、それらが自殺の原因となった可能性は否定できないとの報告を受けたことを明らかにしています。
同社は新入社員だった高橋さんに対し、「パワハラとの指摘も否定できない」「行き過ぎた指導があった」ことを認識。法的には不法行為に該当する行為は認められなかったとしながらも、「内に秘めた心情や不安を思いやる想像力や十分なサポートが足りなかったと深く反省しております」と述べています。
月間の法定外残業については、2016年(1-11月)は25.2時間、80時間超過に相当する社員は114人と2013年から徐々に減少していることを報告。しかし特定の部署や社員に業務負荷がかかる状況は変わらず、「過剰なクオリティ志向」「過剰な現場主義」「強すぎる上下関係」など独自の企業風土が大きな影響を与えているとの考えも示しています。
また2015年4月以降取り組んできたという「三六協定違反ゼロ」についても報告。不適切な勤務登録(過少申告)を発生させないことを重視し「時間外勤務をした際には必ず登録する」という指導をした結果、「私事在館」申告での在館が増加。2016年10月中旬に私事在館は原則禁止となったが、長時間労働を容認してしまっていたことを反省し、今後は両方の面から徹底するとしています。
同社は労働環境改革について、「高橋まつりさんのような出来事が二度と起こらないようにするため」に経営の優先順位において「社員」を第一に位置づけることを提示。具体的には11月1日に発足した「電通労働環境改革本部」や、2017年1月からは新たに任命した専従執行役員を中心に「業務量の適正化」「組織運営のあり方と各種制度の見直し」「企業文化の再定義」を緊要な課題として進めるとしています。
なお、社内処分については2017年1月開催予定の取締役会において執行役員を、その他関係社員についても、社内規則に則り厳正な処分を行うとしています。
(宮原れい)
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