カノープスを見てみよう
関東以南では夜半前に南の空低く、長生きの星とされるカノープス(りゅうこつ座α星)が見ごろとなっています。このチャンスにカノープスを眺めてみませんか。
カノープスとは? その探し方は?
明るさはマイナス0.7等級、全天ではシリウス(おおいぬ座α星)に次いで二番目の明るさを誇っています。ただ、日本から見ると南の空低く、観測条件・気象条件が整わないと観察が難しい星となっています。めったに見えないため、古来、「南極老人星」「寿老人」などといわれ、見えれば長生きができるおめでたい星とされてきました。一方、探し方としてはそれほど難しくはありません。全天一の明るさのシリウスを擁するおおいぬ座のしっぽから斜め右下方向、地平線すれすれに赤味がかった星が見つかれば、それがカノープスです。
カノープスの見える地域は?
北限界線と南中時刻(天体が真南に位置し、高度が最も高くなる時刻)に高度が5度になるおおよその地域を地図に線で示します。残念ながら計算上、新潟県と福島県を境とした北緯37.3度以北(標高0メートル、大気差は考慮せず)では見ることはできません。その他、本州の広い地域で南中高度は5度以下となっています(大気差=地平線付近の天体が大気の屈折で浮き上がって見える現象、その高度の補正値)。
カノープスの見える時間は?
これから2月にかけて南中時刻が早くなり、観測には適した時期になってきます。別表に東京と福岡のおおよその南中時刻を示します。東の地域ほど早く、5日間で約20分ずつ早くなります。観察は南中時刻プラスマイナス30分が勝負と思ってよいでしょう。
観測可能な地域であっても、地理的に南側が開けていることが必要不可欠です。東京では南中高度は約2度(満月のおよそ4個分)にしかなりません。また、できるだけ高い所(山の上やビルの高層階)がよく、水平線、地平線が見える所であれば、申し分ないでしょう。南側に星の光を邪魔する人工の光源(市街地等)がないことも地図などで確認しておいたほうがよさそうです。
カノープスを見るための気象条件は?
この星が見えるのは地理的に本州の太平洋側が中心です。例年、これからの時期は冬型の気圧配置になりやすく太平洋側では晴れる日が多いため、天気図的には判断がしやすいでしょう。ただ、上空の寒気や風などの微妙な条件の変化で太平洋側にも雪雲は流れ出します。この場合、陸上で晴れていても、南の海上が雲に覆われて低空の星は見えないといったことがよくあります。この点は、衛星画像などを併せて確認しましょう。あとは言うまでもなく、真冬の夜ですので防寒対策はしっかりと行ってください。最後の画像は昨年末に静岡県下田市で撮影したカノープスです。固定露出(約10分)のため、星は天の南極(水平線下)を中心に同心円を描いて写っています。光跡は10分間の星の動きを表します。
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