代指しロボ「電王手さん」が双腕に進化! 加藤一二三九段もやった両手指しを操るその名は「一二(いちに)さん」
2本の腕で駒の位置を把握し移動。器用に駒を持ち替えての「成り駒」も実現しています。
佐藤天彦叡王と人工知能「PONANZA」が対局する「第2期電王戦」に向けて、デンソーウェーブが新たな代指しロボットを開発しました。アームが2本となり、名前も従来機の「電王手さん」から「電王手一二(いちに)さん」に。おや、「一二さん」……将棋界的に見覚えのある字面ですが?
同社は従来機で、「成り駒」の際に特殊な機構で駒をひっくり返すよう設計していました。今回はロボットメーカーとしての原点に返り、特殊機構は爪の開閉に留め、アームの動きと機能だけで将棋を指せるようにしたそうです。
実現のために2台の産業用ロボットアームを複合し、1台のロボットとして作動させる協調制御システムを開発。2本のアームを人間の両手のように同時に動かし、役割分担で駒の位置の把握や移動、成り駒を行います。
しかし一般的に将棋は片手で指すもので、ロボットとはいえ両手指しはマナー的にアリなのか気になるところです。そこを日本将棋連盟会長の佐藤康光九段は、「まれに両手で指す人はいた」と説明。そのまれな例こそ、「ひふみん」の愛称で親しまれるレジェンド、加藤一二三九段なのでした。なるほど、ロボットのネーミングとつながってきた。
本人いわく、加藤一二三九段はしばしば両手で指し、強く指すあまり飛車や将棋盤を割ったことすらあるとのこと。前例がこの人なら、問題はなさそうですね。新型ロボの名前が自分にあやかった「一二さん」になったと聞き、ひふみんも「もうそら結構ですね」と喜色満面でした。かわいい。
相手棋士に接近しすぎないようエリアセンサーを設置するほか、心理的負担を与えないよう動作時の加速度を調整するなど細かい改良も施され、「空気を読んだ所作」まで実現。「一二さん」が投入される第2期電王戦は、4月1日の第1局、5月20日の第2局の、二番勝負で行われます。
(沓澤真二)
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