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法務省の人権擁護機関が、人権侵犯事件に対する取り組み状況を公表した。資料によると、2016年に救済手続きを開始した新規の人権侵犯事件数は1万9443件。前年比7.4%減と、13年ぶりに2万件を割り込んだ。その一方で、インターネットへの投稿を巡る事案は1909件と、10年間で6.8倍に増加したことが判明している。
1909件中、プライバシー侵害事案が1189件、名誉毀損事案が501件。この両事案が全体の88.5%となる。同機関は、「元交際相手の男性により、アダルトサイトへ個人情報や交際時に撮影した性的な画像を投稿された」「掲示板に被害者個人を特定する題名のスレッドを立てられ、『人殺し』などと中傷された」といった事例を挙げている。
当該事件の処理方法は、大半が「援助」。これは、ネット上の人権侵害情報を被害者自ら削除依頼する方法を、同機関が被害者に教示するもの。また、同機関がプロバイダ等に削除を求める「要請」を行ったケースは、326件あったという(前述の事例はいずれも「要請」で処理され、当該情報及び画像は削除された)。
ほかにも、障害者に対する差別待遇に関する事件数が、286件と過去最高件数を記録したことが分かった。学校におけるいじめや、労働権に関する事件数は前年を下回ったものの、高水準を維持しているという。
(沓澤真二)
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ネット上での人権侵犯事件は前年から49.3%増加した。