脅威のスヤァ効果で話題沸騰 魔法のぐっすり絵本「おやすみ、ロジャー」は大人でもスヤれるのか
全世界で話題の"魔法のぐっすり絵本"は、大人にも効果があるのか? 1週間試してみました。
こんにちは。日々睡眠不足、ねとらぼライターの大原です。
わたしは寝入るまでに時間がかかるタイプで、その日のテンション(高くても低くても)によっては、寝れない〜寝れない〜とベッドの上で数時間、時には朝まで苦しみ続けることがままあるのですが、皆さんはちゃんと眠れていますか?
そんな良い睡眠を取れていないわたしはある日、“魔法のぐっすり絵本”というキャッチコピーのついた「おやすみ、ロジャー」という絵本の話を、知人の新米ママから聞きました。
この絵本、もともとはスウェーデンの行動科学者が子どもの寝つきをよくするために作ったもので、日本はもちろんのこと、世界中のママパパの間で、効果絶大! と話題になり、現在では世界的ベストセラーになっているそうです。そして、なんとこの絵本は大人にも効果があるようで、注意文には「【注意】車を運転している人のそばで絶対に音読しないこと」と書かれているほど。
本当に、そんなに効果があるのでしょうか? ということで、1週間実験してみることにしました。
気付いたら朝だった……脅威の入眠効果
今回の実験では、水樹奈々さん、中村悠一さんによるナレーションで読み聞かせてもらえる「おやすみ、ロジャー 朗読CDブック」と、就床時刻と入眠時刻が測定できる「Sleep Meister」というアプリを使用しました。この「Sleep Meister」というアプリは、スマホを枕元に置いて寝ると加速度センサーにより寝返りなどの身体の揺れを認識し、入眠時刻や眠りの深さを計測してくれるというもの。人はしっかりと眠れている時には身体が動くことは少ないといわれているので、加速度センサーが反応すると、眠りに入っていない・眠りが浅いと判断されるようです。
ちなみに絵本のあらすじはというと、なかなか眠ることができないウサギのロジャーが眠るため、道中でさまざまな動物にアドバイスをもらいながら最終的に「あくびおじさん」のところに行き、眠くなる薬と呪文をかけてもらうというもの。絵本の中には、ストーリーとは別に「色文字の箇所は、ゆっくり、静かな声で読む」「【あくびする】など動作の指示に従い、【なまえ】にはお子さんの名前を入れる」など、効果を高めるための読み方の指示がついており、この読み方がどうやら眠りを誘うのだそうです。
半信半疑のままスタートした初日、気付いたら朝でした。あれ、いつ寝たっけ……? アプリを確認してみると、就床時刻(ベッドに入り「おやすみ、ロジャー 朗読CDブック」をスタートしたタイミング)が1時58分、入眠時刻が2時9分と、10分20秒ほどで寝ていたようです。
「おやすみ、ロジャー 朗読CDブック」ですが、わたしが聞いていた水樹奈々さんバージョンは全体で43分12秒なので、4分の1くらいの時間で寝ていたことが分かります。序盤のストーリーはしっかりと記憶がありますが、途中から何も覚えていないし、いつまで聞けていたのかも分からない状態でした。
そしてこの後6日間、同様に実験を続けたのですが、大体10分前後では眠りにつけており、早い日では4分11秒という数値も出ました。7日間の平均入眠時間は6分45秒。すごい。寝れない〜寝れない〜と、数時間たってしまっている日々はなんだったんだろう……?
ちなみに、ストーリーを全て聞く前に眠ってしまっているため自信はないのですが、何回も聞いていくうちに、序盤に「キミ(自分)」を「ロジャー」に重ね合せるセリフ(「うさぎのロジャーは、ちょうどキミと同い年」など)が多いので、恐らく「ロジャー=自分」というある種の暗示にかけられ、そのロジャーが眠い、眠いと言うことで、自分も眠くなるのでは? という仮説を自分の中で立ててみました。
この仮説が正しいのか、そしてなぜこんなに眠れるのかを、「おやすみ、ロジャー」発行所である飛鳥新社の矢島さんにお話を伺いました。
なぜこんなにも眠れるのか、飛鳥新社に聞いた
―― 序盤のストーリーは何度も聞いて覚えているのですが、途中からのストーリーが一切分からないままなのです。最終的に、ロジャーは無事に眠ることができたのでしょうか。
矢島さん:はい、ロジャーは無事に眠れることができます。いま答えちゃいましたが、エンディングのネタバレがOKという、本当に変わった絵本だと思います。
―― そうなんですね! よかったです(笑)。わたしはあまり良い睡眠生活を送れていなかったのですが、この1週間は「気付いたら朝だった」という毎日でした。こんなに眠れるのは、どういうメカニズムなのでしょうか。「ロジャー=自分」という暗示にかかっているせいではないかと仮説を立ててみたのですが、いかがでしょうか。
矢島さん: お役に立ってうれしいです。メカニズムは、大原さんの仮説の通りです。これは著者のエリーン氏も言っていたのですが、ロジャーに自分を重ねることで物語の中に没入し、一緒に眠くなる狙いです。
でも、それだけではなく、「眠れない」というときに考えられる理由について、物語の中で登場人物たちが全て解決するためのアドバイスをしてくれているんです。例えば、神経が高ぶっていろいろ考えてしまう、という対処に対しては、「考えごとをぜーんぶ、頭の中から取り出して、おふとんの横にある箱に入れちゃう」とか、眠れるコツとして「ゆっくり息をする」とか教えてくれたりするのですが、深呼吸も立派な入眠メソッドです。本書にはそうした心理的なコツが、物語の初めから終わりまでこれでもかと詰め込まれているんです。
―― 今回のわたしのように、眠ることが難しい大人からの反響もありましたか。
矢島さん: はい、寝つきがよくなったとか、夜中に目が覚めてしまっていたのが朝まで快眠できるようになったとか、そういったお声はたくさんいただいています。一番驚いたのは、ご年配の方からの声で「睡眠薬がいらなくなった」というもの。これはうれしかったですね。ちなみに、大人の方はやはりCDの方が手軽のようで人気があります。なかなかCDが手に入らない、という声もあるのですが、ダウンロード版の準備もあります。
―― 本来は子ども向けの読み聞かせ絵本だと思うのですが、なぜ大人にも効果があるのでしょうか。
矢島さん: 私もこの本を手掛けるまでは知らなかったのですが、子どもも大人も入眠までのプロセスは同じなんです。
この点について、本書の監訳をしてくれた快眠セラピストの三橋美穂先生が「私たちは生まれてから、“眠り方”を教わったことがない」という興味深いことをおっしゃっていたのですが、確かに、私自身も親をはじめとして、誰からも教わったことがない。でも、眠るためにはそれなりの手順というものがあるんですよね。そして、それは子どもも大人も共通なんだそうです。ですから、大人も子どもも、その手順を知ることで、上手く眠れるようになるんだと思います。
―― 2月には「おやすみ、エレン」という、ゾウが主人公の絵本も第2弾として発売されましたが、こちらも同様の効果があるのでしょうか。また、「おやすみ、エレン」の反響はいかがでしょうか。
矢島さん: おかげさまで、こちらも大きな反響をいただいています。メソッドとしては、ロジャーと同様の心理テクニックなのですが、エレンの売りはイラストのかわいさです。ロジャーの絵を気に入ってくださる方も多い一方、ちょっと怖くて苦手、という方は正直なところいらっしゃるので、著者が意識的に変えて誕生したのがエレンです。
ロジャーは世界的ベストセラーなのですが、実は日本でいちばん売れているので、エレンは日本人にもかわいいと思ってもらえる絵柄にしてくれました。効果は同様にありますので、どちらでもお好きなほうからお使いいただけたらうれしいです。
なかなか寝ないお子さんにお困りのママパパはもちろん、わたしのように眠れないと悩んでいる大人の方は、一度「おやすみ、ロジャー」をためしてみてはいかがでしょうか。魔法のように、ぐっすり眠れるかもしれませんよ!
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