はじめまして。ワタクシ、ライターの伊沢拓司と申します。東京大学の農学部で大学院生をしています。
2010年、2011年の高校生クイズを2連覇して以降、「クイズ王」として『Qさま‼(EX)』『頭脳王(NTV)』『東大王(TBS)』等のクイズ番組に出演しました。最近ではテレビ朝日の年越し番組『くりぃむvs林修 年越しクイズサバイバー』に2年連続で出演しております。
それにしても、自分で「王」を名乗るやつにロクなやつはいませんよね。『三国志』で勝手に皇帝を名乗りだした袁術は当代きってのザコでしたし、DQ5のニセたいこうも胸糞キャラとして有名です。
クイズ王もそれに似たにおいを感じます。明確な定義も存在しなければ、公式な認定もありません。テレビで分かりやすいアイコンとして使われるか、格好のイジリどころとして友人たちが使うか……という感じです。「ハカセ」的なね。
Wikipediaの項目「クイズ王」のクイズ王一覧には、一般人クイズ王として30人ほどの名前が並んでいます(恥ずかしながら僕の名前もあります)。挙げられた名前の横には、好成績だったテレビ番組の名前も添えられており、その戦績こそがクイズ王の権威を示すものとなります。
でも、ちょっと待ってください。
クイズ王は、なぜそのテレビ番組に出場したのでしょうか。そもそも、テレビに出て勝利を挙げるまでは何をしていたんでしょうか? クイズ王は世襲制ではないので、生まれながらのクイズ王というのは誰もいないわけです。彼らはどのような人生をたどり、そしてどのようにクイズ王になったのでしょうか。
今回は、新米クイズ王である僕が、いろいろなクイズ王の事例を通して「クイズ王のつくりかた」を解説したいと思います。
クイズ王と呼ばれるまで
まずは、「クイズ王」と世間的に呼ばれるようになるタイミングについておさらいしましょう。
前述のように、多くのクイズ王はテレビでの活躍でもって世間に認知され、そのタイミングで「クイズ王」というラベルを貼られてクイズ王デビューを飾ります。逆にいえば、クイズ王になる基準は「テレビでの活躍」にあるわけです。つまり、クイズ王を作り出すには、テレビで活躍させれば良い。
では、一歩踏み込みましょう。ただの一般人を「テレビのクイズで活躍させる」にはどうすればよいのか?
ここからは、具体的な事例でもって説明しましょう。先に答えを言ってしまうならば、「クイズに王道なし」なのです。クイズ王が言うんだから間違いない!
弱小クイズ研での日々
まずは僕の例から。僕がクイズ王と呼んでもらえるようになったのは、おそらく2011年、高校2年生のころから。第31回の『高校生クイズ』に優勝したことで史上初の個人2連覇を達成し、一般参加型のクイズ番組に呼ばれるようになったタイミングでした。
2011年はいわゆる「クイズ王番組」=一般人参加でクイズ最強を決定する番組が復活した年でした。『SASUKE』の乾Pが手掛けたTBS『World Quiz Classic』のド派手な演出が時代の扉を開くと、翌2012年にはフジテレビの深夜番組『Q-1』や2度開催されたTBS『THEクイズ神』といった、テレビ素人を中心に据えたクイズ番組が複数登場しました。
僕はこの機に恵まれ、テレビの前でクイズを披露できました。そして、このタイミングでテレビ側から「クイズ王」と呼んでもらえるようになったワケです。
じゃあそれまで何をしていたのか、というと「しがない中学生活」と「クイズの鍛錬」です。
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