クイズ王が皆、しがない中学生活を送っているというわけではもちろんありませんよ! クイズ王は一日にしてならず。1人のクイズ好きがクイズ王になるまでの過程は千差万別であり、その過程の差が認められているという点こそが「どうすればテレビで活躍できるのか」のヒントとなります。
中学1年生で開成中学のクイズ研に入った僕は、週2の部活と通学途中のクイズ勉強(詳しくは僕の著書で!)をひたすら繰り返していました。当時の開成クイズ研は部員10人以下の弱小で、運動部に疲れたときの休憩所的な位置付けでの入部でした。しかし、周りのライバルや強い先輩と戦う中で、次第に強くなっていく実感が最高に楽しかったので、ズルズルのめり込んでいくことになります。
実はもともと、運動部でやっていきたかったんです。でも、入った運動部には高校生しかおらず(開成は中高一貫)、辞めたころには他の運動部も途中から入りづらい雰囲気でした。汗を流し仲間とともに努力する学生生活ではなく、小さな教室で10人に満たない部員たちと日の当たらない活動をする毎日。中学生活のスタート段階から、華やかな青春なんて想像だにしない平凡な生活でした。
友達は少なくはないけれど、クイズ研究部は部員も活動機会も少なかったので放課後まで一緒にいるような親しい友達はできません。活動のない日は、毎日のように部活に励む連中を横目に、イヤフォンから筋肉少女帯を爆音で流しつつトボトボと家路についていました。
『高校生クイズ』での飛躍
そんなパッとしない、目立たない中学時代。日々クイズばかりしていた成果もあり、高校生以下での最強決定戦『高校生オープン』で史上初の中学生での優勝を達成するなど、テレビに映らない「クイズ界」では結果を出せていました。
でも、それが意味を持つのはクイズの世界だけ。参加者が70人しかいないところで強さを見せても、誰もクイズ王とは呼んでくれません。
しかし、チャンスは近くにありました。2008年から、『高校生クイズ』が「知の甲子園」路線と呼ばれるハードな難易度となり、クイズ研究部には追い風が吹いていました。
2010年に高校生になった僕は、中学時代の結果が認められ当時人気だった開成の先輩・田村さんとチームを結成。開成悲願の初優勝を成し遂げます。そこからは前述の通り、時代の流れにも助けられいろいろな番組で日の目を見る形で結果を残すことができました。
つまり、「クイズ王」になる前の僕は「クイズが好きな」「地味めの中坊」だったワケです。特筆すべきライフイベントもさしてなく、彼女どころか女の子との接触すら全くない、クイズだけの中学時代でした。
クイズ王へのさまざまな道のり
僕と同様、他の「クイズ王」たちにも、実力を養い見聞を広げるための「クイズ王以前」の期間が存在します。そしてそれは、僕の歩んだ道とはまた違ったものです。
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