マグロのフラッシュ撮影ってやっぱり良くないの? 近大水産研究所所長に聞いてみた
そもそも水族館でフラッシュ撮影すると、水槽に光が反射して魚は見えにくくなるんですけどね。
マグロが水槽に衝突する動画と共に「フラッシュに反応したマグロが水槽に衝突して死んじゃった 皆フラッシュやめようね」という内容のツイートが投稿・拡散されたことに端を発して、水族館でのフラッシュ撮影の是非について議論が活発化しています(関連記事)。
5月1日掲載の記事でも指摘をした通り、発端の動画は転載されたものだったことが分かっており、ツイートの「フラッシュに反応した」という部分も臆測に基づいたものでした。ねとらぼでは元動画が撮影された美ら海水族館に取材。フラッシュに驚いたマグロが死ぬ可能性はあるのか質問をしたところ、担当者からは「フラッシュ程度の光ではマグロに影響しない。そのため美ら海水族館では基本的にフラッシュでの撮影は禁止していない」という説明がありました。記事では、マグロが水槽に衝突した原因は不明なものの、“美ら海水族館では基本的に周囲のお客さんに迷惑にならない程度であればフラッシュで撮影をしても問題がない”と結論づけました。
ところが記事が掲載されると、美ら海水族館内でのフラッシュ撮影に理解を示す声が多く見られた一方で、「他の水族館ではマグロへのフラッシュ撮影が禁止されている場合もある」「フラッシュが影響無いと断じるのもどうなんだ」「他の館園や他の水槽への影響も考えてほしい」といった意見も多数見受けられました。
5月2日にNHK NEWS WEBが掲載した記事によると、国内でクロマグロまたはキハダを飼育している水族館は美ら海水族館以外に4つあり、その内3つでフラッシュが禁止されているとのこと。また、東海大学海洋学部の秋山信彦教授はNHKの取材に対し「マグロは基本的に極めて光に敏感で、光に驚いて水槽内を突進する『驚がく行動』を起こす」「ただし水槽の明るさによってフラッシュの影響は変わってくるため、一概にはいえず、水族館の状況に応じた判断が必要」と、マグロの生態について解説しています。
マグロの「驚がく行動」はどのようなときに起こるのか?
マグロの「驚がく行動」とはどのような状況下で起こるものなのでしょうか。ねとらぼでは今回改めて、日本で初めてクロマグロの完全養殖に成功した近畿大学水産研究所の所長・升間主計(ますま しゅけい)教授に話を聞きました。
升間教授によると、「驚がく行動は夜間などのかなり暗い空間で、稲光などにより突然昼間の光のような明るさになったときに起きます。マグロも人間と同じで、暗い所でいきなり明るい光を見ると驚いてしまいます」と説明。
水族館内でのフラッシュについては、「美ら海水族館が言っているように、水族館に展示されたマグロがフラッシュにより驚がく行動を起こすとは考え難いですね。というのも、水族館では展示のためにある程度の明るさは確保されているはずなので、そこでのフラッシュの影響は限定的です。また、マグロ展示用の水槽のガラス・アクリルは分厚く、光が水槽内に届く前にかなり減衰することが考えられます。フラッシュを炊いたとしても、マグロの目の刺激になるほどの光量が届くとは思えません」と話しました。
もちろんこれは分厚いアクリルで覆われた、フラッシュ撮影可とされている美ら海水族館でのお話。魚の種類や水槽の環境によって条件が左右されるため、基本的に水族館ごとの説明に従うのは大前提です。升間教授にフラッシュ以外の注意点について聞いてみたところ、「マグロは音には鈍感なので、仮に水槽を少々叩いても驚がく行動は起こさないでしょう。でも、やはり一般的なマナーを守って楽しむのが一番じゃないでしょうか」と話していました。
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申し訳ないが、かもめはNG。