世界で初めて完全養殖を実現させた「近大マグロ」で知られる近畿大学水産研究所ですが、十分なデータがとれたとの理由から、富山実験場での研究を1月末でいったん終了していたことが分かりました。これに伴い、一部で「近大の養殖クロマグロ全滅」といったニュースが話題になっていましたが、これは誤った情報となります。
話題になったのは、北日本放送のニュースサイト「KNBニュース」が報じた、「近大の養殖クロマグロ全滅」という記事(現在はタイトル修正済み/元記事の魚拓)。富山実験場で昨年7月から飼育されていたクロマグロ1000匹が、水槽の壁に衝突して死ぬなどして徐々に減少、また水温が13度まで下がった先月には海水をボイラーで温めるなどしたものの、すべての稚魚が死んでしまったという内容でした。
このニュースはたちまち拡散され、Yahoo! Japanでは一時「近大 マグロ」と入力するとサジェストに「全滅」が表示されるなど話題に。SNSやまとめサイトでも取り上げられるなど、大きな関心が寄せられました。
しかし、編集部が近畿大学に電話取材したところ、正しくは全滅したわけではなく、十分なデータが得られたため飼育を終了したとのこと。
もともと富山実験場では卵を孵化させた後、稚魚を水槽に入れた状態での成長課程を研究していました。しかし、海水の水温を保つために莫大なコストがかかることや、現段階において必要なデータがすべて取れたことなどから、今年の1月末でいったん研究を打ち切ったとのことでした。研究打ち切りに伴い海水温が低下し、結果的に富山実験場のマグロが全滅したことは事実ですが、現在も大島実験場(和歌山県)と奄美実験場(鹿児島県)での実験は続いており、すべての近大マグロが死滅したわけではないそうです。
また富山実験場での研究再開については現在検討中で、今後の発表に期待してほしいとのことでした。
(Kikka)
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