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光合成しない「菌従属栄養植物」の新種、石垣島で見つかる 命名「オモトソウ」

光合成の代わりに、キノコやカビの菌糸を根に取り込んで消化し生育します。

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 神戸大学の研究グループが沖縄県石垣島で新種の植物を発見したことを発表しました。「オモトソウ」と命名されたこの植物、光合成をしないことが大きな特徴です。


オモトソウ 地上部の高さは5〜10センチ程度。直径2ミリほどの花をつけます(神戸大学の末次健司特命講師撮影)

 光合成は植物を定義づける重要な要素。しかし植物のなかには光合成をやめ、キノコやカビの菌糸を根に取り込んで栄養とする「菌従属栄養植物」もあり、オモトソウもその1つです。

 菌従属栄養植物はその特性から花期と果実期のわずかな期間しか地上に姿を現さず、サイズも小さいことが多いため、発見が非常に困難。植物の調査が進んでいる日本でも正確な分布情報が解明されておらず、同大学は共同研究者らとともに、調査と分類体系の整理に取り組んできました。

 研究者は2016年10月に石垣島の於茂登岳(おもとだけ)周辺で未知の植物を発見しました。ホンゴウソウ科のホンゴウソウに近いものでしたが、雄花にある突起の数が違うことから新種と判明。発見場所の地名を冠し、オモトソウと名付けたとのことです。


ホンゴウソウとの比較 オモトソウ(左、末次健司特命講師撮影)とホンゴウソウ(右、山下大明氏撮影)の雄花の比較。先端にある突起の数が異なる

 菌従属栄養植物は森の生態系に寄生する存在であり、資源に余裕のある安定した森林でなければ生育できないとのこと。研究者はオモトソウの発見により、於茂登岳周辺に広がる原生林の重要性があらためて示されたとしています。


(沓澤真二)


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