現代音楽家ジョン・ケージが手掛けた「4分33秒」のように、約10分にわたり無音が続くだけの楽曲「A a a a a Very Good Song」が海外で話題になっています。
何も聞こえないのに有料で購入する人が殺到し、一時、米国のiTunes Storeランキング50位以内に入ったとのこと。いったい、何が起こってるんです?
「A a a a a Very Good Song」を作曲(?)したのは、米国のSamir Mezrahi氏。iTunesストアを見る限り、このほかの曲は発表しておらず、以前からアーティストとして活動していた人物ではないようです。それなのに、どうして「わざわざ無音の音源をリリースする」なんてややこしいことをしたのでしょうか。
「Engadget」によれば、海外のカーステレオには、iPhoneを接続するとアルファベット順に楽曲を自動再生するものが多いのだそうです。操作しなくてもすぐに音楽が聞けるように、という配慮なのかもしれませんが、この仕様だと、基本的には毎回同じ曲が流れることになってしまいます。そのデメリットを解消しようとしたのが、「A a a a a Very Good Song」。「A」がズラっと並んだタイトルでアルファベット順のトップに入り、曲選択が完了するまでの時間を無音にしてくれるというわけです。なお曲の最後には、曲を変えるように促すメッセージが一言入っています。
リリースを発表したSamir Mezrahi氏のツイートには、「ありがとおおおおおおお!!」「この曲買います!」と好評の声が。類似音源を自作しても「A a a a a Very Good Song」と同じ効果が得られるはずですが、同曲が0.99ドルと安価なことから、制作の手間を省くために購入する人が多いのかもしれません。
ちなみに、「A a a a a Very Good Song」よりもアルファベット順で上位に来てしまう「A」というタイトルの楽曲も存在。残念ながら、スマホに保存している楽曲の種類や、カーステレオの仕様によってはうまく機能しないようです。
(マッハ・キショ松)
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