公開中の映画「ナラタージュ」のヒットを祝う舞台あいさつが10月16日に開催され、行定勲監督から贈られた感謝の手紙に有村さんが号泣する出来事がありました。
2006年版「この恋愛小説がすごい!」1位に選ばれた島本理生さんの原作小説を実写化した同作は、高校教師と生徒として出会った男女が時を経て再会し、許されない恋に落ちていく姿を描いたラブストーリー。行定監督が12年の構想を経て完成した映画は、初週の週末興行成績で約2億1600万円をたたき出し2位にランクインしました。
「首がつながった。これが当たらなかったら、路線を変えようと思っていた。すごく物語を重視した超ジェットコースタームービーみたいなものを(笑)」と、意外な発言でキャスト含め会場を驚かせたのは行定監督。
「分かりやすくしなくてもいいし、物語じゃないものをみんなが感じとる、そういう記憶に残るものが作れたら」と、映画だからできる“人間関係の曖昧さ”を描き出すことに腐心してきたことを語り、「皆さんに見ていただいて、もう少しやっていける猶予期間が延びた。ありがとうございます」と感謝の言葉を述べました。
この日はサプライズとして、松本さんと有村さんへ行定監督からの手紙が読み上げられる展開に。高校教師の葉山を演じ、「やったことのない役で、演技もだいぶ削ぎ落した方向にやっていて、今までと違う芝居。(芝居の)表現や幅が広がったんじゃないかと思う」と話す松本さんには、「現場での君は心強い存在だった」「いつだって場の空気をつかんで作り手の思いを一番に考えて動いてくれる理解者」などの感謝が伝えられました。
そして、「君は本当は不器用で、その分誰よりも努力してここにいる人。そんな繊細な君とはもっともっと自由に旅をしてみたい。次はどんな冒険をしようか? その日を楽しみにしているよ」と惜しみない賛辞を贈ると、松本さんも「この手紙をいただけたことが、映画に参加した一番の宝物」と喜びました。
一方、ヒロインの泉を演じ、「葛藤しながら作品を作る楽しさをあらためて感じました」と、映画の面白さを口にしていた有村さんに行定監督は、「あなたほど寡黙で芯の強い女優を私は知りません」と絶賛。
「これまで幾多の努力を重ね夢をつかみとったあなたは本当に女優にこだわってきた人。これからもかたくなに演じることにこだわり続けてほしい。そして、日本映画史に残る女優になってください」とエールを贈りました。
この激励に「今までやってきてよかったなと思いました……」と涙をこぼした有村さん。ハンカチを持たず涙をぬぐう姿を見た松本さんは「ここで、俺がパッと(ハンカチを)出せればいいんだけど、入ってないんだよ。ごめん〜架純ちゃん! この流れは読んでなかった」とフォローし客席の笑いを誘っていました。
(田下愛)
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