就職活動で、不採用通知を表す「お祈りメール」という言葉。今では「祈られすぎて神になりそう」などと、ネットスラング的な使い方もされています。
40代以上にはおそらくなじみの薄いであろうこの言葉。一体、いつ、どこで生まれたのでしょうか? また、どの企業も同じような文面を使っているのはなぜなのでしょうか?
「お祈りメール」が生まれた時期と、「どうしてどの企業も祈ってるの?」という点について、各方面に取材してきました。
「祈られた」は「不採用」を意味する言葉
「お祈りメール」や「祈られた」という言葉は、不採用通知や不採用を言い表すスラングです。不採用通知の多くが、最後に「貴殿の就職活動の成功をお祈りしています」「ますますのご活躍をお祈りいたします」のような、「お祈り文」が付加されていることに由来しています。
2015年12月にマイナビが発表した「就活ワードの流行ランキング」では、1位「サイレント」、2位「お祈り」、3位「オワハラ」と、2位にランクインしています。1位の「サイレント」も「サイレントお祈り」などの略語とのことで、実質的には上位を独占。2016年卒業予定の学生の流行語ということは、最近の若者が生んだ言葉なのでしょうか?
メディアに登場したのは2010年頃
まずはネットニュース、週刊誌、書籍などマスメディアの情報を追いかけてみました。
ネットニュースですぐに見つかったのは2011年〜2012年頃の記事。例えば2012年9月のITmediaの記事「就活生に失礼な企業にありがち、「サイレントお祈り」とは?」です。しかしこの記事中には「今から5年ほど前には、ほぼどの就活生にも通用する言葉だったようです。」と書かれています。
書籍で最初にこの言葉が使われたのはいつ頃でしょうか。国会図書館のデータベースで調べたところ、見つけられたのは2009年11月発行の『また、「お祈りメール」がきました。』でした。
この本を購入して読んでみると「インターネットの掲示板『みんなの就職活動日記』(通称:みん就)などで、しばしば見かける言葉です」とありました。みん就とは、楽天が運営する口コミ就職サイトのことです。多くの就活中の学生が使っているこのサイトが言葉の発信源なのでしょうか?
就活の専門家にも聞いてみた
調査を続けるうちに、ある企業の人事担当者から「記事になりはじめたのは2012年頃かと思うけど、それ以前から(お祈りメールは)送っていますね」という情報が寄せられました。
採用に関して多くの知見を持つ採用コンサルタント兼アナリストの谷出正直氏にも話を聞くことができました。谷出氏によると、
- 2007年頃には既にかなり普及していた
- 自分が就活していた2005年にも使われていた
- 最初は2ちゃんねる(現、5ちゃんねる)の就活板で使われていたのが普及したのでは
とのこと。2005年には既にあったということです。Googleトレンドを調べると、「お祈りメール」は2004年には既に検索ワードとして使われていて、その後徐々に広まっていった様子です。想像以上に古くからある言葉のようです。
では、2ちゃんねるで最初に「お祈りメール」が書き込まれたのはいつなのでしょうか?
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