なぜ台湾人はハム太郎ソングでとっとこ走り回ったのか アニソンDJ界の流行「ハム太郎コール」、ルーツを探る(2/3 ページ)
「ハム太郎とっとこうた」に合わせて台湾人が輪を作って走り回った動画が話題に。あの瞬間が生まれたのは、偶然だけではなかった。
台湾人はなぜハム太郎でとっとこ走ったか
話題の台湾の動画は、11月18日に台湾・台北市で開催されたアニメクラブイベント「秋葉東京in台北」の様子。「秋葉東京」は2011年から香港でアニソンDJイベントを開催している国際交流を目的としたプロジェクトで、今回はアジアの主要都市3つ目として初めて台北で実施された。
そこで「ハム太郎のとっとこうた」を流したのが、DJちっぺさん。2007年に北海道市で当時唯一のアニソンDJとして活動を始めた、活動歴10年のベテランだ。日本でのハム太郎コールの盛り上がりを受けてかけたのかと思いきや、実は流行は全く知らなかったという。
「一部では『ハム太郎とっとこうたは全部サビ』なんて言われてるくらい盛り上がりやすい曲ですから、もともとかける機会は多かったです。これに加え2012年から台湾で何度もアニソンDJとして出演する中で、台湾における日本のアニメ人気の高さを知っていたので、ハムスターを飼い出す人が続出するほど日本でハム太郎が人気なら台湾でもいける! と信じて流しました」
すると、フロアにいる100人ほどの台湾人がぐるぐる回り始め、「俺もー!」と叫んだ。
「盛り上がった事自体は狙い通りでしたが、まさか日本のアニソンDJイベントでよく見る合いの手まで台湾に伝わっているとは思っていなかったので、その時は素直に驚きました」
ちっぺさんは台湾における日本のアニソン人気について次のように説明する。
「台湾の政府が日本のテレビ番組の規制を解いたのが1990年頃で、2010年頃から『哈日族(ハーリージュー)』と呼ばれる“日本の文化が大好きな台湾の若者”が登場しました。そうした中、2007年10月にニコニコ動画に『せっかくだから台湾人258人で一緒に組曲ニコニコ動画を歌ってみた!』という動画がアップロードされます」
「『ハレ晴レユカイ』などニコニコ動画で人気のアニソンを台湾人が大合唱していく動画なんですが、見た時は日本の文化がすさまじいスピードで海外に伝わっていることを痛感しました。その元ネタである『組曲ニコニコ動画』がアップロードされたのはわずか4カ月前で、そこから台湾人250人が集結して歌って動画を投稿したわけですから」
そしてある体験を振り返りながら、今回の「台湾人のハム太郎コール」について次のように推察した。
「2012年〜2013年に現地の台湾人の家に泊めてもらったとき、何人かで集まってUSTREAMでアニソンイベントを鑑賞したんです。すると音声に合わせて台湾人のみんながPC前でオタ芸を披露し始めたんです」
「つまり、台湾のオタクな人たちは何年も前から、アニソンDJやオタ芸(コール)をUSTREAMにしろYouTubeにしろ、ネットを介して知る余地が十分にあったと言えます。ここ数カ月で急激に増えた『ハム太郎コール』の動画も台湾アニソンファンがチェック済みで、今回のイベントで私がたまたま曲を流し、例の瞬間につながっていったのかもしれません」
先のいまのさんも、「近年だと『PPAP』もよくわからない形で世界中で大流行したのでそれと同じ現象が起きたのかなって思ってます。最近だと台湾やシンガポールでアニメ系のイベントが活発に行われているので今後も日本からこういうのが輸出されて行くのかな?って考えています」と、ハム太郎コールの広がりについて述べていた。
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