人気グッズやコンサートチケットなど商品の転売が先般から問題となっています。2017年にはチケット転売に対して業界が反対声明を出した(関連記事)他、「Nintendo Switch」の転売問題も注目を集めました。企業の商品やチケットがしばしば標的になる転売ですが、ハンドメイド作家など、個人も転売業者の標的になるケースも報告されています。トラブルに遭った人に話を聞きました。
転売できずに虚偽の理由で返金要求
JISS(@jiss_tnor)さんは、自作のアクセサリーを自身のストアや、ハンドメイドのイベント、店舗委託などで販売しています。先日、「家族の障害者がイベントであなたの商品を大量に購入してしまったので返金してほしい」という虚偽の理由で返金を求められたと報告したことがネットで話題になりました。大量の買い物は、実際には転売目的で行われたものでした。
返金を要求した転売者がJISSさんの商品を購入したのは、2017年11月のハンドメイドイベント「デザインフェスタ」。「どの商品が一番人気があるのか」「在庫はどのくらいあるのか」などバイヤーのような質問をしたり、スマホでオンラインストアと見比べたりしていたといいます。イベント後JISSさんは「デザフェスで4万近くご自宅用に買われた人、在庫抱えて爆死してないかな」と転売目的と思われる購入があったことをツイートし、在庫は常にあるようにしているので見掛けても手を出さないでほしいとフォロワーに呼びかけていました。
その後JISSさんのもとに、ファンからフリマアプリで商品が転売されていたという情報が入ります。出品されていたのは転売者が購入したもので、イベントで販売したよりも高く、正規のネットショップよりも安い価格がついていたといいます。しかしいずれも売れず、JISSさんに返金を求めてきました。話し合いの結果、相手の主張は虚偽であったことが分かり、返品・返金はキャンセルになったとJISSさんは報告しています。
虚偽理由での返金要求について、警察への相談など考えているのかJISSさんに聞いたところ、「考えていません。問い合わせは終了しています」とのこと。返金・返品はキャンセルになっており、また仮に返品・返金(新品と確認できたものについて)したとしても、新品の商品が戻ってくるだけで 金銭的実害被害はゼロとなるため。「私もせっかくならアクセサリーをつけて楽しんでほしい気持ちはあります。ですが大量買いの商品はイベントで指定した金額をきちんと揃えてお買い上げいただいた商品です。今後どう使われていても、購買側の自由と踏まえております。転売以外であれば」
今回のような、転売目的とみられる買い手に会ったのはJISSさんは初めてとのこと。しかし同様のトラブルに巻き込まれた人は他にもいるようで、「大量に商品を購入した人物から、心当たりのない汚損を理由に返金を求められた」という報告もSNSでみられます。またJISSさんは、転売者とのやりとりから、他にも大量に商品購入した作家がまだいると思ったと話しています。
もしデザフェスで同様の被害に遭い、返金を要求された人がいたら、相談に乗りたいともJISSさん。今後の転売対策については、「未定ですが、イベント販売時の個数や価格についても検討し直したいです」とのこと。
今回の騒動を振り返って、「さまざまな意見が寄せられましたが今後の活躍を応援する声が大多数でした。実害なく問題を終える事ができたのは皆さまのおかげです、本当にありがとうございました。リスクを背負って問題提起したかいがありました」とJISSさんは述べています。応援への感謝を述べる一方で、「この事件の真偽に関係なく、障害者及びその関係者には肩身の狭い思いをさせてしまったのは事実です」と謝罪も。
また、転売者とのやりとりの中で、転売ビジネスについて教えるスクールの存在も出てきたそうで、「こういったビジネススクールが公に存在しているのならば、『転売禁止』という言葉ももっとフェアに転売業者に届いていいはずです」とJISSさんは主張。今後自身の商品は一切転売を禁止するとし、「仮に転売商品があったとしても、絶対に買わないでください。在庫も公式通販で常に確保してあるようにしてます。ない場合は再販希望にもできるだけ答えていきたいです」と宣言。正規のルート(自身のストア、ヴィレヴァン、常設店:HOYAJUKUラフォーレ原宿、J±池袋サンシャインアルタ)での購入を呼びかけています。
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