「好きな事を仕事にする上での覚悟」――イラストレーターの大石橋.jp(大石橋 順平/@jp_Illustrator)さんが投稿した、実際に好きなことを仕事にした日々の中で出くわす人とのエピソードを描いた漫画がTwitterで話題になっています。
大石橋さんが最初の要望通り描いたイラストに、いくつも修正を要求する発注側の企業。それに対し予算内では難しいことを伝えると、ディレクション担当の社員は「視点角度変えるだけでしょ?」とひと言。
要求が実際にはほとんど描き直しの作業なので簡単ではないこと、また完成前に言ってくれないと困ることを伝えると、「パパッと作ればいいじゃない!好きな事を仕事にしてんだから、こっちの要求くらい気持ちよく飲んでよ!」と、相手の“好きな事を仕事にしてる”ことについて触れてきては要求を通そうとしてきます。
さらに「ひょっとして面倒くさいの? 嫌なことでもやらないと駄目だ!」と言い出しては、「そもそも、絵でお金を取るのがおこがましいことなんだよ?」と、イラストレーターという職自体を責めるような発言も飛び出します。そして最後には「僕もこんな仕事したくないよ!でもね、生活があるんだよ!」という風に、“嫌な仕事をしている”という自身の立場を説明するのでした。
大石橋さんは仕事をする中で同社員のような考えの持ち主に多々遭遇するそうで、「好きな事を仕事にする人は、嫌な仕事をイヤイヤやる人に、ミョーなマウンティングをとられる事がある」として、「堅実が好まれ変質化した、この国の病のようなものと理解した」とまとめています。
ちなみにオチとして、仲の良い外国のイラストレーターに話したところ「ハハハ!彼はサディストでマゾヒストなのか!パーフェクトじゃないかw」と笑われたエピソードが語られています。確かに言われてみれば彼らはマゾヒストなのかもしれない……。
大石橋さんはその後、好きな事を仕事にしたことで「こんな良い事もある」という内容の漫画も投稿。そこでは企業からの依頼とは別の一般から受ける仕事について、進め方の違いから工数がかかったり、価格も抑えたりする面があるものの、その経験のおかげで気の利く人間になれたりと、「人生の勉強数値は企業相手より大きい」と振り返ります。
そしてなにより、「心から喜んでくれる相手を見ると、本当にこの仕事をしていてよかったと思う」と、イラストレーターという仕事のやりがいについて話しています。
漫画を読んだTwitterユーザーからは、依頼人から同様の内容を言われた経験があるというクリエイターの声や、“この国の病”という表現に「めちゃくちゃわかる」と共感する人の声が寄せられ話題に。他にも「『好きなこと仕事にしてるんだから…』とかは八つ当たりに近いよねぇ」「技能を持つ職人に正当な対価がきわめて低い状態が続きすぎた」などの意見も上がり、反響を呼んでいます。
画像提供:大石橋.jp(@jp_Illustrator)さん
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