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【完全版】納豆の値段差はどこから来るのか? 「輸入モノ」と「国産」の違いを調べたら、意外な事実が判明した(1/2 ページ)

がっつり調査しました。

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 納豆を買いたい。しかし、どれを買ったらいいのか分からない。筆者は大量の納豆が並ぶ売り場の前でいつも悩むのだ。

 並んでいる納豆の値段は、数十円から200円近くまでと倍以上の開きがある。一体何が違うのだろう。食品表示を確認して分かる違いといえば、大豆の産地くらい。輸入大豆と国産大豆でそんなに違うものなのだろうか。どうして倍も違うのか。

 気になってしまったからには調べたい。3メーカー6種の納豆を食べ比べてみた。さらにメーカーにも理由を聞いてみた。「輸入大豆は安いけど味が落ちる」のかと思っていたが、そんな単純な話ではなかった。予想外の結論になったので話を聞いてもらいたい。

試験の様子 納豆の産地による違いを徹底検証するぞー

売り場から受ける印象は「輸入大豆は安い」

 スーパーで納豆を6銘柄買ってきた。特別な味がついていないものを中心に、3メーカーそれぞれ国産大豆と輸入大豆の銘柄を1つずつ選んだ。購入価格は65円から129円。1パックあたりでいうと22円〜65円となる。

買ってきた商品 6銘柄買ってきましたー

購入した商品

大豆の産地 商品名 製造者 内容量 実際に購入した価格(税別)
アメリカまたはカナダ おかめ納豆 極小粒 タカノフーズ 50g×3パック 65円
アメリカまたはカナダ おいしい極小粒納豆 あづま食品 45g×3パック 88円
アメリカまたはカナダ くめ納豆 極小粒 ミツカン 40g×3パック 119円
国産 おかめ納豆 国産丸大豆納豆 タカノフーズ 40g×3パック 129円
国産 くめ納豆 北海道納豆 小粒 ミツカン 40g×3パック 129円
国産 北海道 大粒 あづま食品 45g×2パック 129円

 売り場を眺めた印象からは、輸入大豆の納豆が安いように思う。今回購入した納豆も輸入大豆は1パックあたり22円〜40円、国産大豆は43円〜65円と、輸入大豆が安い。メーカーによっては、輸入と国産で倍も値段が違っている。

納豆の食品表示 どれにしようか悩んだら、食品表示を見ますよね

 いくら原材料費が違うからといって倍も違ってくるものなのだろうか。そして味の差は倍以上もあるのだろうか。


極小粒と大粒では豆の大きさが1.9倍違う

 なぜ値段が違うのか徹底的に調べたくなったので、食べる前に外観調査を行うことにした。まずは、納豆の粒の大きさだ。納豆を方眼紙上に置いていちばん長い距離を目測した。すると、粒の大きさは8mm〜15mmと最大1.9倍の違いがあった。

納豆の大きさの調査 極小粒と大粒はこんなに違う

大豆の長さ(()内はパッケージの表示)

輸入大豆 国産大豆
A社 8mm(極小粒) 15mm(大粒)
B社 9mm(極小粒) 13mm(中粒以上)
C社 9mm(極小粒) 11mm(小粒)

 商品パッケージに、輸入大豆の納豆は「極小粒」と、15mmの国産大豆は「大粒」と書かれている。つまり、書いてある通りだっただけともいえる。それにしても、極小粒と大粒でここまで豆の大きさが違うものなのか。大粒の納豆は枝豆のような「豆」を感じることができる。原材料を知らない現代っ子のような感想だが、「ああ、納豆の原料って豆なんだ」と思った。

 なんとなくではあるが、粒が大きい大豆のほうが値段が高そうな気はする。


タレって納豆ごとに変えてたんだ

 タレの違いも調べてみた。どの納豆も同じタレを使いまわしているものだと思い込んでいたが、そうではなかった。まず、色が違う。そして量も異なっていた。

納豆のタレの色味調査 タレの色味 輸入大豆(左)、国産大豆(右)でこんなに違う

タレの内容量調査 タレの量も違っていた

 輸入大豆用のタレのほうが色が濃く、量が多い傾向にある。試しになめてみたが、総じて輸入大豆用のタレはしょっぱいように感じた。

タレの色味

製造者 観察結果
A社 輸入大豆のほうが濃い
B社 輸入大豆のほうが濃い
C社 輸入大豆のほうが濃い

タレの量(()内は納豆の量)[食品表示より抜粋]

製造者 輸入大豆 国産大豆
A社 5ml(45g) 4.5ml(45g)
B社 5.5g(50g) 4.8g(40g)
C社 6g(40g) 4.8g(40g)

タレとカラシを混ぜた場合の塩分相当量(()内は納豆の量)[食品表示より抜粋]

製造者 輸入大豆 国産大豆
A社 0.6g(45g) 0.6g(45g)
B社 0.8g(50g) 0.6g(40g)
C社 0.78g(40g) 0.61g(40g)

 同じメーカーの納豆でも商品によって違うカラシが入っていることがあった。細かいことまで考えているのだなあと感心する。

カラシの外観 同じメーカーでも違うカラシが入ってる

カラシの量(()内は納豆の量)[食品表示より抜粋]

製造者 輸入大豆 国産大豆
A社 0.8g(45g) 0.8g(45g)
B社 1.2g(50g) 0.6g(40g)
C社 0.7g(40g) 0.8g(40g)

それじゃあ、ケースに違いはあるのか?

 タレとカラシが違うならケースも違うかもしれない。高い商品ほどいいケースを使っているかもしれない。取りあえず、厚さを測ってみた。

ケースの厚さを調べる様子 ノギス登場

ケースの厚さ

製造者 輸入大豆 国産大豆
A社 2.2mm 2.2mm
B社 2.0mm 2.0mm
C社 2.1mm 2.0mm

 ふわふわしている素材だったので、測定誤差はそれなりに出ているだろう。各メーカー、2つの商品でケースの素材を変えていることはなさそうだ。さわった感じも違いはなかった。

 ケースの底の形を比較すると、丸だったり、四角だったりしていた。しかし、これが納豆の値段と相関があるとは感じられなかった。

ケースの形を比べる 丸いものや、四角いものがある

ケース底の形状

製造者 輸入大豆 国産大豆
A社 四角 四角
B社 四角 角を落とした四角
C社 角丸の四角 四角

 ノギスまで出してきてみたが、ここに答えはなさそうだ。


で、味はどう違うの?

 で、である。結局のところ、大事なことは味がどう違うのかだ。まずは素の味を調べたい。納豆を混ぜないで、タレもかけない状態で食してみた。

納豆を食べるところ 素のまま食べてみよう いただきまーす

 結果、国産大豆のほうが甘みが強いように感じた。輸入大豆のほうが、納豆嫌いな人が嫌う“あの独特なにおい”が強い。しかし、この苦いような臭いような独特のにおいというのは逆に納豆の大事なところ。この風味がクセになるんだよねーとも思う。

輸入大豆と国産大豆の味比較

メーカー 感想
A社 違いが分からない
B社 国産のほうが甘いかも、輸入は納豆臭さを感じる
C社 国産のほうが甘いかも、輸入は納豆臭さを感じる

 最後に300回かき混ぜて、タレを混ぜ、さらに100回かき混ぜて、ご飯にかけた。これは筆者のいつもの食べ方だ。食べるぞー。

納豆ごはんの画像 イエーイ。輸入・国産ダブル盛り納豆ごはんだー

 全部おいしい。

 ここまで来て本当に申し訳ない。納豆ごはんにしたら全部おいしかった。細かい違いはあるような気がするが、大して気にならない。どれもおいしい。納豆単体では苦く感じた銘柄も、タレがうまくカバーしているようだ。おいしい。

 結局、自分の舌では違いがよく分からなかった。でも、値段が違うんだからなにかが違うはず。どこが違うのかメーカーに聞いてみたぞ。

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