輸入、国産という情報からは味は分からない
メーカーに聞いてみて分かったのは「輸入だからこう、国産だからこう」という、分かりやすい傾向はないことだ。
まず、納豆の値段は、大豆の原材料費、容器、配送料、ロット数などいろいろなことで決まる。1社は値段の違いを原材料費による違いが大きいとは教えてくれた。しかし、輸入大豆を使った高級な商品があるなど例外もあるらしい。
どうして値段が違うの?
メーカー | 回答 |
---|---|
A社 | 輸入大豆の商品はリーズナブルなものが多いです。有機栽培の輸入大豆を使った高級な商品もあります。 |
B社 | 原材料費の違いによるところが大きいです。 |
C社 | 値段は、大豆の原材料費だけでなく、容器、配送料、ロット数などさまざまな要因で決まります。 |
次に味の傾向を聞いてみた。産地で味が分かると筆者は信じていた。ところが、この国ならこの品種とは決まっていないらしく、輸入だからこの味、国産だからこの味とはいえないそうだ。
例えば、あるメーカーは商品開発の際に、まずコンセプトを決めて、それに合う豆はどれかという手順で選ぶと話していた。輸入大豆だからこういう商品という順序では発想していない。どのメーカーも「それぞれの豆に合わせて納豆を製造している」と話していた。
輸入大豆と国産大豆でどう味が違うの?
メーカー | 回答 |
---|---|
A社 | 輸入だから、国産だからということはなく品種によります。国産(特に北海道)の大豆で作った納豆は甘みがあるとはいわれています。 |
B社 | 輸入大豆も契約栽培をしているので、国産大豆と遜色がない品質になっています。国産大豆が好きというお客さまもいるので両方の商品を出しています。 |
C社 | そういったデータは取っていません。 |
食品表示をみて、最初に目につくのが大豆の産地だったため、てっきりそれで味が分かるものかと思っていたが、違っていたらしい。
値段は小売店が決めている
今回の調査でダントツに購入価格が安かったのは、タカノフーズの「おかめ納豆 極小粒」の65円。どうしてこんなに安いのか率直に聞いたところ、予想外の回答を得た。筆者は企業努力のたまものだと思っていた。
「当社の極小粒は販売から35年の定番商品のためなのか、なぜか安く売っていることがある」(タカノフーズ)
納豆はメーカーが小売店に卸し、小売店が消費者に販売している。小売店での販売価格は小売店が決める。なぜその値段なのかは小売店に聞かないと分からないのだが、メーカーの立場からすると3パック65円は安すぎるそうだ。
希望小売価格よりも実売価格が安いことは普通だそうだが、「おかめ納豆 極小粒」が158円(購入価格65円)、「おかめ納豆 国産丸大豆納豆」が201円(購入価格129円)であり、もともとは倍も差があるものではないらしい。
ほかのメーカーも「当社は国産大豆の商品が安くなっていることがありますね」と言っていた。筆者が最初に思っていた「なんでこの納豆安いんだ?」という疑問の答えは、「スーパーが安売りしていたから」という理由である可能性が出てきた。そうなると、値段と味も期待していたほどには相関がないのかもしれない。ああ、どうやって納豆を選んだらいいのか、ますます分からなくなってしまった。
で、どうやって選んだらいいの?
小粒、大粒の好みがある人はパッケージから簡単に判断ができる。大粒のほうが豆感があるとはいわれているが、ここは好みだろう。筆者は小粒のほうが納豆感があると感じたが、ただ食べ慣れているだけかもしれない。
それ以外の豆の香りだったり、タレの風味だったりという違いは、食べてみないことには分からないだろう。産地表示もあまり参考にならないようだ。
あるメーカーは、納豆の選び方について、合わせるおかず、食べるシーン(朝昼晩など)によって選んでくださいと話していた。おかずに合わせて選ぶなんて、ワインみたいだなと思う。ここで妙な納得をした。1000円のワインと10万円のワインの違いが分からないんだから、80円と120円の納豆の違いなど分かるはずない、と。今後は、安すぎない納豆をいろいろ食べてみようかなと思える、今回の調査だった。
(高橋ホイコ)
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