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「ブルーライトが目に良くない」のはなぜか?

言うほど青い光と感じないけど……。

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 近年、よく目にするようになったブルーライトカットメガネ。「目の疲れを軽減する効果がある」という話は聞いたことがあるけど、「なぜブルーライトをカットすると疲れにくくなるのか」までは分からないという人も多いのではないでしょうか。

 今回は、光が持つ性質からブルーライトの問題点について考えてみましょう。


ブルーライトって結局、何なんだろう……

見える光と見えない光

 一般的に光というと「見える光」を思い浮かべるでしょうが、携帯電話の通信に使う電波や、リモコンから出る赤外線、レントゲンを撮るX線のような「見えない光」も存在します。見える見えないにかかわらず、これらは全て「電磁波」と呼ばれます。

 人間に見える電磁波を「可視光線」といい、波長(繰り返しが続く波1つ分の長さ)はおよそ380〜780ナノメートル。電波やX線、赤外線などが見えないのは、この範囲外の波長を持っているためです。

 可視光線を波長が小さい方から大きい方へと並べてみると、青、緑、黄、赤色と虹のような配置になります。ブルーライトとは、このうちの波長が短い青い光を指します。波長の範囲は明確に決まっているわけではないものの、380〜500ナノメートルくらいを指すことが多いようです。


ブルーライトの人体への影響について研究する団体「ブルーライト研究会」は「ブルーライトとは、波長が380〜500ナノメートルの青色光」と説明しています(Webサイトより)

光の特性が違う

 「ブルーライト=波長が短く、青色に見える光」ということは分かりましたが、そのことが目にどう影響するのでしょうか。

 まずいえるのは「波長が小さいほど、光のエネルギーは大きくなる」ということ。可視光線でいうと紫や青は、赤よりもエネルギーが強くなります


光子のエネルギーを表す式。プランク定数hと光速cはともに定数なので、光の種類によって変化しません。つまり、光のエネルギーは波長λにのみ依存します

 また、波長が小さい光では散乱が強く起こります

 身近な例を挙げると、昼間の空が青く見え、夕方の空が赤く見えるのにも、光の散乱が関係しています。太陽が真上にある昼間は光が通過する空気の層が薄いため、散乱の強い青色の光になりますが、太陽が斜め上にある夕方は光の経路が伸びて空気の層が厚くなり、青い光は地表に届く前に散乱。しかし、散乱しにくい赤い光は地表まで届くので、赤い夕焼け空になるのです。


考えられる目への影響

 先ほどの説明の通り、波長が短いブルーライトは可視光の中でもエネルギーが大きく、他の可視光に比べて目へのダメージが大きくなると考えられます。実際にブルーライトが、加齢黄斑変性という網膜の病気になる確率を高めるという研究もあるようです。

 また、青い光は散乱しやすいため、光のチラつきが多くなります。そのゆえ、目への負担が大きくなり、目が疲れやすくなるおそれがあります。

 さらに近年は、ブルーライトを多く含むLEDを利用したディスプレイが普及したことで、目がブルーライトにさらされる量が増えています。ブルーライトカットメガネを使うことである程度、その影響を軽減することができますが、一切なくなるわけではありません。このような理由から、PCやスマホの長時間使用には注意が必要です。

 ちなみに、ブルーライトは生活リズムが乱れる一因になる(睡眠を促すメラトニンの分泌が阻害される)という話もあります。「まだ眠くないから」と布団の中でスマホをいじっていると、余計に寝られなくなってしまうかもしれません。

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