世の中には、文の善し悪し以前に読む気が失せるもの、また読んでいて辛くなる文章があります。まずは、「こういう文章は読みたくなくなる」例を紹介します。
(1)段落が全くない
1600字ほどのレポートで、最初に一文字分だけ段落下げをしたあと、残りを全て、段落なしで書き連ねてきたレポートを読んだことがあります。実例をお見せしてもよいのですが、わたしの不幸をお裾分けすることに意味はありませんから、やめておきます。
追体験したい場合は、ニュースサイトなどから1600字くらいのテキストをコピーしてきて、それをWordや一太郎などに貼り付けて、段落を削ってみてください。
(2)テーマの前提を無視する、問題設定と結論がずれている
ある自治体の公務員採用試験で、「体罰をなくすためにはどうしたらいいか」というテーマが出題されていました。そのテーマをレポートの課題として出したことがあります。
提出されたレポートを読んでいるといくつか、「体罰は必要である」「体罰がいかに効果的か」と論じるものがありました。もちろん、このテーマの前提は「体罰は不要であり、排除するべきもの」であるはずです。
わたしがこの課題を出したとき、ほかのテーマも提示していたので、書く側は「体罰をなくすためにはどうしたらいいか」以外のものを選ぶこともできたはずです。にもかかわらず、なぜわざわざテーマの前提を無視するような論を書かなければならなかったのか、不思議でなりません。
このように、与えられたテーマの場合はもちろん、自分で何かしらのテーマを設定していても、なぜか最初に問題としていたこととはズレた結論を示してしまうものもあります。
例えば、「過疎化の進む地域にある乗客数の少ない電車の路線を廃止して、代替として路線バスを運行するべきである」という問題を論じていたはずが、いつの間にか、「地域の過疎化を食い止めるためにはどうしたらいいか」を論じている、といったケースです。
(1)は、今すぐにでも使える「ダメ文章」のテクニックだと思います。一方、(2)は、ある程度まとまった文章を書かないと、実体験も難しいと思います。いずれにせよ、こういうタイプの文章を書くひとは、文章を書き上げたあとに全く読み直しをしないのではないか、と思っています。
ダメ文章のポイント
- 段落を作らずに文章を書き連ねる。
- 最初に設定した問題点と、最終的に言いたいことをずらす。
- まとまった文章を書いたあとは、絶対に読み直さない。
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