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コラム

読むのがつらくなる「ダメな文章」の特徴とは? マネしちゃいけない「ダメ文の書き方講座」(1/3 ページ)

数々のダメ文に出会ってきた筆者が解説。

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 大学教員の筆者が、学生のレポートを読みまくる中で発見した「ダメな文章の書き方」……いわゆる「ダメ文講座」をこれまで2度にわたってお届けしてきました。

ダメ文講座(第1回)のポイント

  • 読点を使わない、変なところに打つ
  • 文をねじれさせる
  • 並列関係を混乱させる

第1回を読む

ダメ文講座(第2回)のポイント

  • 1つの文に複数の意味がある「多義文」
  • 「こと」ばかり繰り返す「ことこと煮込んだ文」
  • 読み手を疲れさせる「頭でっかちな修飾」

第2回を読む

 前回までの記事では主に単体のダメ文、すなわち「なぜ、その文がダメなのか」を分析しました。今回は「文」に加えて、文単位だとそんなにダメではないのに、その文がまとまると「全体的にダメ」になるパターン、複合的なダメ文についても考えてみます。

植田麦

明治大学政治経済学部准教授。研究の専門は古代を中心とした日本文学と日本語学。



「こと」「的」以外にもある! 〜省いたほうがいい「という」表現〜

 前回の記事では、「文中に『こと』『的』が多いと、読みづらくなったり内容を理解しづらくなる」例についての話をしました。特に、文章を書き慣れていないひとは「こと」を使いがちです。この「こと」以外で、あまり文章を書き慣れていないひとの頻用する表現が、「〜という」です。

 サンプルをみてみましょう。

最近、女性の社会進出と未婚率がリンクしているという意見をよく耳にする。そのため、総務省の統計局というところの公開しているデータをみることにした。


 なんというか、間が抜けているように感じられます。これを例えば、

昨今、女性の社会進出と未婚率の関連性についての議論が多く行われている。私はその関連性を確認するために、総務省統計局の公開しているデータを確認することにした。


 とすれば、なんとなくかっちりした、レポートっぽい文章になります。なお、ここでは慣用表現を改めたり、和語を漢語にしたり、論理の飛躍を補う等の加工もしています。

 この「〜という」は、メールやショートメッセージのやりとりくらいならばそんなに目くじらを立てることもない表現ですし、それ以外のケースでも最低限の使用ならば問題もないのですが、公的な書類やレポート・論文などでは、多用を避けたほうがよいものです。

 私事ですが、わたしが最初に論文らしきものを書き始めたときに、師匠からポツリと「植田くんの文章は、『という』が多すぎる」と言われたことがあります。さらに、「『〜という』が多いと、文章が締まらない」とも言われました。みてもらった論文(もどき)を読み直して、「〜という」をどうしたら省けるか、と考えたものです。

 文中にある「〜という」をそのまま省くことができればいいのですが、そうもいかないケースも多々あります。その場合は、文の前後を置き換えるなどの操作をすると、うまくいくかもしれません。サンプルとして、以下の例を挙げます。

飲食業は多く、職場としてはブラックだという印象をもたれがちである。

→ 印象として、「飲食業はブラックだ」と考えられがちである。


 ここでは、「〜という」の直後にある「印象」を前に持ってくることで、「〜という」の省略をはかりました。

ダメ文のポイント

  • 「〜という」を多用する


この文章を読みたくない! 〜読み手の意欲を減退させる文章〜

 ここまでは、「文」の単位でダメ文をみてきました。ここからは「文」の集まり、「文章」の単位でダメな表現をみていきましょう。いわば「ダメ文章」です。

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